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学校で上着が無くなった



体育の授業がある日(週4)はジャージで学校に行く。


今は雨季であるため、寒いときはジャケットを羽織る。これが平日の定番スタイルになっている。




2日前の月曜日、ちょうどこの格好で学校に行った。


そして、今日水曜日。


同じ格好で出勤しようとしたが、家を出る直前で気付いた。


ジャケットがない。


家の中を探したが見つからない。


そもそもうちは狭いので物を無くしようがない。



時間が迫っていたのでとりあえず学校に行き、普段使っているホール、職員室、作業部屋など心当たりのあるところを探した。


無い。


ここらで、モヤモヤとした気持ちが浮かぶ。



「私立とはいえ、日本人の服欲しかったんかな。知らん大人も学校出入りするしな。ノースフェイスやしな。(多分みんな知らん)」



「そういえば活動先での物の紛失について訓練所で講話あったな。日本人の物はみんな欲しいんやから、同僚や生徒を犯人にしないために管理に気をつけなあかんって言ってたな。ちょっと信用しすぎてたかな。」


「でも、普段私が何か忘れ物したら子どもたちすぐに持ってきてくれるのにな。今回は違ったんかな。」




正直、ルワンダで着古しているこのジャケットはそれほど大切な物ではない。


日本に帰ってから着るかもわからない。


ただ、帰国前ルワンダ人にあげて帰るほど不必要な物でもない。


そもそも、これを失ったことより「学校で無くなった」ということがモヤモヤの原因だ。



とまあ、そんなことを考えながら、誰かに聞く前にもう一度家の中をしっかり確かめることにした。



やはり、家にはない。



再び学校に行き、お掃除マダムに「このジャケット無くしたんやけど、どこかで見なかった?」と拙いルワンダ語で(翻訳アプリで調べて)聞いた。


多分理解してくれて、申し訳なさそうな顔をした。


その次、たまたま職員室に大悟がいたので聞いた。


「このジャケット無くしたんやけどどこかで見なかった?」


普段おちゃらけている大悟が真剣な表情に変わった。




「この学校で無くしたのか?」


月曜日に着ていたけどどこに置いたかは覚えていないということ、休み時間に子どもたちや他の先生にも聞く予定だということを伝えた。



大悟は、「この学校ではたまに盗みがある。以前自分もコートやカバン、本を盗られたことがある。」と言った。



やっぱり信用しすぎていたなと思った。



私はルワンダに来て1年3ヶ月経つが、一度も物を盗られたことがない。



…いや、家の敷地内の洗濯紐に引っ掛けておいた洗濯バサミは全て盗られた。




とりあえず見つけたら教えてと大悟に言い、職員室を出た。


すると、後を追って大悟が出てきて、


「着ていたのは月曜日だな?作業部屋も見たのか?」


と再確認した。



質問に答え、自分の作業に戻った。


お掃除マダムも大悟も、ルワンダ人の口癖である「ナキバゾ(no problem)」で済ませるのではなく、真剣に捉えてくれていることが嬉しかった。



ホールで作業をしていると、先ほどのお掃除マダムが来た。どうやら、「校長先生のところに行け」と。



何を言っているかはよく分からなかったが、とりあえず言われる通りに校長先生が担任しているナーサリークラスに向かうと、その教室から大悟が来るのが見えた。



くすみピンクの何かを持って。



それが探していたジャケットだということはすぐに分かった。




嬉しかった。


ジャケットが見つかり、自分の元に返ってきて嬉しかった。


それ以上に、二人がすぐに対応してくれたのが嬉しかった。


私が二人に聞いてからジャケットが見つかるまで、ものの5分だ。


お掃除マダムも大悟も、私の話を聞いてすぐに動いてくれたのだ。


きっと真っ先に校長先生に確認してくれたのだろう。


ジャケットは、私が月曜日の体育でグラウンドに置き忘れていたので、それを見つけた子どもが校長先生のところへ持っていき、そのまま教室で保管されていたとのこと。


何度も言うが嬉しかった。



でも、それと同時に恥ずかしかった。


大人子ども含め、自分の周りの人たちを疑ったことが。


二人が真摯に対応してくれた嬉しさと、学校の誰かが盗ったわけではなかったという安堵と、普段から関わり、よくしてくれている人たちを疑った不甲斐なさが入り混じって、何だか泣きそうになった。





とにかく何が言いたいかというと、ピースアカデミーだいすきです。





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