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不登校の子とどう向き合うか

昨今「不登校」も市民権を得て、
子どもが不登校であることを周りの人に言っても反応が変わってきたように感じます。

ひと昔前までは、不良が事件を起こしたぐらいのリアクションでしたが、今は「そうなんだー。大変だね」と労いの言葉が返ってくるようになりました。

我が家の不登校


我が家の息子も
高校3年秋から不登校勃発。
高校を卒業しないことには、目指す大学も行けないので、
残りの単位を取る授業をピンポイントで受けに登校する日々。

って言っても、毎日行くわけじゃないので、行かない日は部屋に篭りきりでした。
最低限でなく、高校生活を楽しんでほしいのに。

友人関係で悩んでいるわけでもなく、必要以上の授業を受ける意味がない、と本人の弁。
最初は慌てましたが、担任の先生と連絡を取り合いながら、どうにか卒業最低限の条件をクリアし、卒業しました。
不登校のことは、ママ友たちにも広がっているだろうし「なんで?」と聞かれるのが嫌で卒業式には参列しませんでした。

大学受験は失敗し、予備校に通うようになってもやはり秋頃から不登校。

予備校だけにしょっちゅう連絡が来ましたが、
私たち夫婦は受かる自信があるなら気にしなくていいとほっておきました。

晴れて大学に入ったものの、コロナ禍と重なり寮でオンライン授業という短調な日々。

彼としては、好きなことが学べると思って入学した大学。しかし、カリキュラムも最初は基礎課程ばかりで面白くなかったらしく、単位は落としまくり。
結局、この秋で退学。10月からはバイトを始めるらしいです。

前置きが長くなりました。
都度、気を揉み神経をすり減らしましたが、退学ともなるともう本人の決めた道だし、成人してるし、高所得者にはなれないかもしれないけど、それも彼の人生。

ただし、どんなに困っても家に帰るという選択肢はないと言い渡してます。

さてさて、本題です。

子どもは不調を教えてくれない


9月1日は、例年子どもの自殺が増える最も危ない日です。
夏休みで学校でのストレスと離れていても、2学期が始まれば、また本人には辛い日々が待ち受けています。
それに耐えきれず、自ら命を絶つ子がいるのは、みなさんがご存知のとおりです。

もし、そこを乗りこえてスタートを切れたとしても、そのあとに心身に不調が出る子は少なくありません。
しかも今はコロナ禍で分散登校など、これまでとは違った生活です。

大人だって生活のリズムが日々違えばストレスになりますよね。子どもでも同じこと。
ストレスの一部になりかねません。
ストレスを抱えた状態は何かしら、子どもの様子が変わります。


大事なのはそのときに子どもの変化に親が気づいてあげること。
忙しい日々の保護者だったりすると、
「不調は、子どもが自分から教えてくれる」と思い込んでいる人がいます。特に親子のコミュニケーションが潤滑な場合の落とし穴です。

残念ながら、子どもから教えてくれることは、ほとんどありません。なぜなら、親に心配かけたくないと思っていたり、どうにか自分で解決すべきだと考えていたりするからです。

親を巻き込む、先生を巻き込む、相手と相手の親を巻き込む。
そう考えるとおとなを巻き込むことに躊躇する気持ちもわかります。
そうすることで、余計自分が嫌な思いをするかもしれない、と思うことでしょう。

だからこそ、わずかな接している時間の中で親が気づいてあげることが重要になってきます。

では、気づいてあげられるにはどうしたらいいでしょうか?

前提として、普段の我が子を把握していること。
食欲、睡眠、好きなこと、出かけ先、友人など。今は共働きが多く、子どもと接している時間はわずかですが、わずかであることをしっかり頭に入れて少ない時間の中で、会話の中から情報をインプットし、様子をよく観察しておくこと。
そして、親がわかっているつもりにならないことが大切です。

様子の変化のポイントとしては
(1)親の顔を見なくなることが増えていないか
(2)注意力が散漫になっていないか
(3)元気がなくなっていないか
(4)睡眠はきちんととれているか
です。

もし、これらに変化がみとめられたら、受け止める環境づくりをします。

「家は自分を守ってくれる安全な場所」
と、なるよう
・親の気分で家庭の雰囲気が壊れるようなことをしない
・パートナーの悪口を言わない
・子どもにさりげなく「大事な存在」であることを伝える
になります。

この時注意したいのは、
「無条件で大事な存在である」ということです。
いわゆる「承認」です。

コロナ禍で家で過ごす時間が増え、家で安心して過ごせるかは大事なポイントであることもあります。その家庭で「承認」が得られないことは子どもにとって重大なストレスでもあります。

「承認を得られない」=「居場所がない」
となります。
ですから、その「家」を、子どもにとって安全・安心な場所として機能させることが、親の大事な役目になります。

先ほど「無条件で」と記しましたが、
子どもを褒める時、普段どうされてますか?

「何かしらよい結果を得たから褒める」ということをしているのであれば、それは親としてアウトです。
なぜなら、褒めるべきポイントは「プロセス」だからです。
(これは社会人を育てることでも同じです)

親から見えるところだけでなく、失敗しても、いい結果が得られなくても、どう取り組んだかを聞き出してプロセスを褒めてあげてください。

それに加えて「存在しているだけでいい」と言葉で伝えてください。
身の回りの世話もしている、本人を否定したこともない。だから、言わなくてもわかるはずなんて思わないでください。
(こちらはパートナーに対してもあてはまりますね)

欠かさない朝夕の「おはよう」「おやすみ」、
どんなちいさなことでもいいから、何かしてくれた時の「ありがとう」。

そして、折に触れて「生まれてきてくれてよかった」と。

いまさら気恥ずかしいかもしれませんが、ストレスを抱えている時は特に効果的ですし、ストレスを抱えてなくても自己肯定感が高い子に育ちます。

学校に行かなくなる


それでも子どもが「学校に行きたくない」と言い出した場合の対応を記します。

無理して学校に行かせず、休ませます。

働いているとできれば行ってくれた方が楽、というのが本音だと思います。

子どもが「んーでも、行ってみようかなー、どうしようかな。」も休ませます。
子どもがそう言ったとしても「無理しないで休みなさい」と言い切ってください。
「迷うくらいなら、行ってみたら?」はアウトです。

すでに「学校に行きたくない」と言った事実で十分です。疲れているシグナルを素直に言ってくれたんですから。
今度は親がそれに対して、受け止める番です。

心も身体も疲れたら休むのがいちばん!

あなたもこれまでの人生で
「なんか疲れた、ぼーっと過ごしたい」と思ったことはあるでしょう?

今、我が子がそんな気分なんです。
「学校に行かない分、勉強しなさいね」ではなく、好きに過ごさせてあげましょう。
充電できれば、また動き出せます。

学校に行きたくなるまで、とにかく待ちます。
行きたくないというのは何かしら理由があるから、自発的に「行きたい」というのを待ちます。

見た目は元気になり、親も待ちくたびれて
「そろそろ行ってくれないかな」と
思うこともあるかと思いますが、ここはひたすら待ちます。
家という安全地帯で休ませてあげてください。

もしも、親が我慢できなくて急かしてしまうと、
家が安全地帯でなくなり、子どもからの信頼は失ってしまいます。
そんな時、子どもは逃げ場がなくなります。

辛い気持ちをいつでも吐き出せる関係を維持し、信頼して話してくれたことに「ありがとう」と応えてください。

親もストレスをコントロールする


子どもが不登校になると、
「勉強についていけるか」
「戻った時にいじめられないか」
という精神的なストレスや、
今までのあなたの時間が不登校により、削られるのは確かです。それもストレスになり得ます。

子どもそのままを受け止めつつ、
あなた自身もそのままを受け止め、ストレスを溜めないように工夫してみてください。

家を空けても大丈夫そうなら、
仕事や習い事をつづけたり、
1日に10分でいいから自分の時間を持つ。

あなただけでなく、
不登校の子どもがいる家族全員がストレスを上手に発散させることで、家庭の雰囲気もいいものに保たれ、不登校の子ども自身も安心して過ごせる空間になります。

静かに見守る。ゆっくり待つ。

これが遠回りのようでいちばんの近道なんです。

最後に


私の息子は来春から4ヶ月の予定で、
自転車で日本一周という高校生の時からの夢を叶えるため、アルバイトを始めました。
仕送りも生きていける最低限しかしていません。

資金の100万円は春までに貯めるそうです。

大学退学していわゆる普通の社会人にはなれないかもしれませんが、たった自転車一台で日本中をこの目で見たいという息子を応援しています。

彼には彼の人生があり、私たち親が決めることではありません。

終身雇用が崩れつつあり、副業・復業が台頭し、
多様性のある世の中になってきています。

彼には高い給与より、高い適応力を得られれば充分生きていけると、私たち夫婦は信じています。

傷は浅いに越したことはありません。

お子さんの回復と
あなたの健闘を心からお祈りしています。

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