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やだやだの先に

いやだなーいやだなー

そう思って先延ばしにしていたこと、ようやっと取り組んだ。

取り組み始めは泣きそうになり、なんでこんなに自分はできないんだろうとか、わたしに任せないでほしいと不満がでてきたり、やーめた!ってどこかへ逃げたくなる。

それでもやるのは自分しかいなくて、後回しにしてきたのは他でもないわたしで、今やらなかったらもっと困るということも分かっているから、せめて部屋を涼しくして、終わった後のご褒美も考えながら手を動かした。

暑いから電気はつけず、ちょっと薄暗いくらいの部屋で、まったく整理されていない紙ものの中から必要なものを探す。

なんとか見つけ出して細々と名前を書いたりはんこを押したりしているうちにふと、気持ちが落ち着き始めている自分に気づく。

淡々と作業に集中し始めると、なんでこんなことやらなくちゃならないのか、とか余計な考えが浮かんでこなくなってくるのか。

昨日の夜に観た映画「日日是好日」を思い出す。

樹木希林さんのセリフ

「どうしてやるのかってそんなこと考えたってわからない。ただそうだからやるの。頭で考えないで、手が自然と動くようになるまでやるの。」

そんなことを言っていたような。

頭で考えすぎるわたしには、ただ目の前のことをやる、積み重ねていく作業が気持ちを落ち着けたり。あたまの空白を作ってくれることがあるのかもしれない。

書類をそろえて近所を回る。

これは自治会のお仕事なのである。

2年目の任期、今でも辞めたいと思いながら、なんとかめちゃくちゃスローペース&マイペースでやっている。早くやれるもんならやりたい。けどどうにも苦手意識がありすぎて、むずかしい。

1軒目。
暑い中、野球少年を見守るおじちゃんの姿。久しぶりに言葉を交わす。
いったいここでこうして何年過ごしているのだろう。
彼じゃなきゃ務まらないんだろうなと思う。

2軒目。
会社の中に一歩足を踏み入れると涼しい。
みんなぴしっとスーツやユニフォームを着ている。
わたしはワンピースに麦わら帽子。どうにも馴染まない。

「もえちゃん?」

話しかけられてびっくりした。

なんと、幼馴染のYちゃんがそこに。

「えーここで働いてるの!こんな近くにいたの・・・」

久しぶりに会ったYちゃんは相変わらずすらっとスリムで、チェック柄のユニフォームが似合っていた。

「かっこいい、似合うね。」

そのまま伝えた。

「また連絡取り合おうね。」

思いがけない再会だ。

憂鬱な気分で始めた今日の仕事のご褒美みたいでうれしかった。

動き出すと出会える。

自治会の仕事は好きじゃないのは変わりないけど、これまで通りの生活では出会えない近所の人に会えるときがあって、そういうときは面白いなぁと思うし、そこだけがちいさなやりがいのような気がしている。

3軒目、4軒目は留守だった。
お盆休みなのかもしれない。

まぁいいや。
今日はここまで。

このままどこかへ出かけるつもりで用意してきたけど、おうちに帰って作っておいた野菜の揚げ浸しと素麺を食べたくなって、自転車こいで帰ってきた。


帰りに寄った和菓子の三好さんで、前から気になっていた”葛きりアイス”を買ってみた。

帰ってすぐに扇風機の前でかじってみた。

むにっ、もちっとした、こんにゃくのような不思議な食感。
すごく好み!

近所で満たされた気持ちになって帰ってこれた。

苦手に取り組むと思いがけないギフトがあるのかもしれない。


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