ばあちゃん VS 私 〜祝いの音〜

嬉しいことに本日は、ばあちゃんの誕生日。
仕事の合間に花束を買って、事前に用意していたブローチと共に贈呈。

大変喜んでくれて、孫冥利につきる。
この感じだとあと10年は余裕で生きるだろう。
元気に楽しく生きてくれ!

さて、一昨日注文した耳栓が届いた。

最強にして屈強にして
強すぎて格ゲーなら使用すると友達に嫌われるレベルのパワーを持つ。
そんな話があったようななかったような耳栓。

勢い余って二つ購入したのだが、つまりこれは
フォアグラとキャビアみたいな
シャネルとグッチみたいな
談志と志ん朝みたいな
死ぬほど贅沢で無敵!
みたいな取り合わせとういわけである。これは…勝ったな!

画像1

左 CAMO PLUGA 6608(MOLDEX JAPAN) 右 Pura-Fit 6800(MOLDEX JAPAN)


なにやら沢山入っていた。
使い捨てらしいのであっという間に消えてしまうかも知れない。


早速着装してみた。
米軍カラーが鯔背なCAMO PLUGA 6608を耳に入れ込む。

画像2

CAMO PLUGA 6608(MOLDEX JAPAN)


まずたまげる。なんて柔らかい!
耳の穴に入れるために、耳栓の先を指先で潰してみると
なんとも容易に薄くなる。
立体から二次元になったかと錯覚するほどぺしゃんこになる。
耳の穴に其奴を差し込むと、じんわりと広がって
外耳道を全て塞ぐ。
体の一部になったが如く。
私の耳に生まれながらにしてあるような
そんな密着力。

しかし気になるのは音だ。

窓を開け放ち、近くを乗用車やトラックが駆ける環境にしていたが
まるで世界が滅亡したかのよう。
なにも聞こえない。
本当に、車なんて存在していたのだろうか…。

あぁ…実に静かだ。
そして嬉しいことに、己の心音がとりわけ聞こえない。

眠る際に耳栓などすると、自分の心拍音がやけにでかく聞こえることがある。
ちょっと止まれ! なんてことは言えないので
結局耳栓を外す、なんてことになる。

しかしこれは素晴らしいな。
外の音を全てシャットアウトする。
10㎝ほどしか離れていないスマートフォンの
バイブ音すら聞こえなかった。

ウレシイ ワタシ トテモ ウレシイヨ。

世界に静寂の素晴らしさを伝えたくなる。
眼に映る全てが愛おしくなる。
人はなんのために争い、なんのために憎むのか…。
ああ、実に詮無い。無常…。

などと悟りを開きかけている私の後方から

「S・O・U・Y・O」


…聞こえた。


本日は、ばあちゃんの誕生日。
ばあちゃんの親戚、ほぼ弟みたいなおじいちゃまが
お祝いに駆けつけてくれている。
リビングで茶を飲みながらどら焼きを食み
歳を感じさせない爆音で思い出話にふけっている。

あゝ なんと儚き夢物語 

でもまあ、今日くらいはいいか。
めでたい今日に、目くじらを立てるなんて粋じゃない。

しかしながら、米軍も使用しているこの耳栓を持ってしても
塞ぎきれないばあちゃんの声量ってのは
いったい何デシベル?

なんて思うのであった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?