見出し画像

大人の義務教育

11月28日(月)

2時間の残業を終え、大通りの煌めくイルミネーションを横目に少し足早に街を歩く。
たまらなくお腹が空いていると、どうしても早歩きになるのは食いしん坊ゆえの性なのだろうか、はたまた生理現象か。

今日は私以外の家族がみんな大阪へショートトリップへ行ってしまっているので、ゆっくり家に帰る日。わざわざ寒く広い家で1人寂しく夕飯を食べる必要はないので、まっすぐ帰宅しないと決め、はじめから外で夕飯を済ませる気満々だった。

今なら安いし、敢えてホテルでも泊まってやろうかと会社ではない別のホテルを予約していたけれど、泊まるのが何となくだんだん面倒くさくなって1週間ほど前にキャンセルした。

せかせかと歩いて辿り着いたのは、
みんな(きっと)大好き王将。
大通り沿いにある、一番好きな店舗。
3日ほど前から中華が食べたくて仕方なくてウズウズしていた。

何なら今日は仕事中、ずっと夕飯のことばかり考えていた。接客しながらお客様の顔が全員天津飯に見えてしまうこともあった。
頼むから落ち着いてくれ。

19時前ということもあり、店内はほぼ満席。コの字のカウンターに通された。
カウンターでご飯を食べるのが大好きであるがゆえに、たとえどれだけ待たされても構わないから、いつも大体カウンター席を選択する。

大好きなマルエフの、しかも大瓶があったので頼み、ビールをゆっくり飲みながら料理の到着を待つ。玉袋筋太郎さんの影響で、身体がある程度元気な日は瓶ビールを飲むようになった。
「633mlの瓶ビールは大人の義務教育だ!」
って玉さん言ってたなあ。

ビールを飲みながらふと周りを見渡してみると、隣の席の男性が美味しそうにラーメンを啜り、向かいの席の男性は炒め物をモリモリ平らげつつ生ビールを喉に流し込み、斜め向かいの席の女性は天津飯をレンゲで嬉しそうに掬っている。

ああ、他人の食べているご飯が美味しそうに見えてしまう現象って何なんだろう。
私が頼んだのは餃子と天津飯なのに、隣の男性が食べているラーメンやコロッケの方がやけに美味しそうで仕方ない。

ついでに、私のすぐ斜め上の壁に貼られている
「豚肉たっぷりあんかけ焼きそば ピリッと生姜がアクセント!」
というポスター広告もやけに惹かれる。
あー、あんかけ焼きそばにすればよかったかもな...いやはや困った。

そう無駄に悶々としているうちに餃子と天津飯が運ばれてきた。
あつあつぱりぱりの餃子を口に運ぶたびに広がるニンニクの香りとともにビールを流し込み、ふわふわとろとろの天津飯をレンゲで掬うたびに笑みが溢れてしょうがない。

コの字のカウンターで、知らない者同士が互いに自分ひとりだけの時間を過ごす。
ひとりだけど、ひとりじゃないというか。
みんなそれぞれ仕事で嬉しいことがあったり、逆に嫌なことがあってここに集いに来てるのだろうと勝手に想像して勝手に元気を貰った。

ひとりで目の前の料理と向き合い、
時折自分自信とも向き合う。
ひとり飯は自己解放プログラムのようなものだと思っている。

ああ、書いてたらまたお腹すいてきた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?