見出し画像

『君たちはどう生きるか』感想(ネタバレ無し)



宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』

上映が終わり、シアターが明るくなるが観客の腰は重たい。

「どういう事だったんだ。」多くの人がきっとそう感じたのだろう。

共に観に行った知人も、その後読んだ多くの人の感想や考察も、明確に全てを理解した人はいなかった。

そこがこの映画の評価が極化している理由だろう。

ああでもない、こうでもないと数日間映画の内容が頭から離れなかった。

そこで気づいたのは、逆に現代のあらゆるコンテンツは一瞬でわかりやすく、その時に消費されて終わってしまっていると言う事だった。

明確なキャッチコピーや、これでもかと強調される伏線回収。もはや直接表現かの様なメタファー。

もっと言えば動画のサムネイルを見れば内容が全てわかったり、目の前にあらわれたショート動画を貪るだけで次の日には何も心に残っていない。

それに対して今回の作品は何の事前情報もなく、タイトルは本からの引用ではあるが観客への問いかけであり、そして内容も監督自らもわからないと言うほどに掴もうとすればする程遠ざかる。

しかし、僕はその作品について数日考え続け、この様な文章を書くほどに何か突き動かされている。

あまりにわかりやすく、その場で消費して終わってしまう現代のコンテンツに慣れてしまった僕たちには「わからない」=「つまらない」という思考回路が出来てしまっている。

でも人生は多面的で、複雑で、1つの意味になんて集約できなくて、さっぱりわからないものだ。

そんな曖昧でぼんやりとして、でも力強く何かを訴えてくる人生そのものを、宮﨑駿監督がそのまま描いた様な作品だったのではないだろうか。

何度も観たい作品というのは、細やかなシーンの意味が何度も観る中でわかっていく様に筋が通った作品だろう。

しかし、今回の作品はきっと観る度に違うメッセージを受け取り、違う感情を抱くことだろう。

とにかくまた観たいな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?