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部屋にガガンボがいた

ふと壁の方を見ると、壁にとまっているでかい蚊みたいな虫が高速で震えていた。ガガンボだなーと思う。
それを、猫が見ている。
猫はガガンボを襲うわけでもなく、ただ見ている。時々ニャーと鳴いて何か私に伝えている。
あー、ガガンボおるな。クソでかい蚊。どうでもいいけど若干キモいな。
まあでも、私の家にいたいならいてもいいと思う。そういう自由が虫にもあるから。
水を飲みたかったから部屋を出た。
戻ってきたらさっきいた場所にガガンボはいなかった。それでも猫は私に何かをしきりに伝えている。ガガンボがいた場所をずっと見ている。でも、そこにいないことはたぶん猫も理解してる。
猫はそんなにガガンボが好きなのかと思って、私は猫にガガンボを見せてやろうと壁を注意深く見た。
あ、全然いる。別の場所ではあるが普通に壁にとまっている。
いるじゃん、ガガンボ。何を私に伝えたいんだ。
ここにいるよ、ガガンボ。そう伝えても猫は私の言葉を理解しないからずっとニャーニャー鳴いていた。

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