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祝 ヘビーメタル専門誌 BURRN!(バーン)創刊40周年!その3支持される理由

前2回でヘヴィメタル月刊誌バーンの全480冊の表紙を飾るアーティストの話をしてきました。今回はこの月刊誌バーンが40年もの長きに渡りファンから支持されている理由を分析してみようと思います。

前回記事はこちらです ↓

支持される理由の1番目は

・ディスクレビュー(新作アルバムの紹介)が100点満点の点数制である

です。バーンを買わなくても、本屋で立ち読みしてディスクレビューの文章や点数だけ確認する人はいるんじゃないでしょうか?

一般的にはこういうディスクレビューは業界のしがらみがある中で正直には書けないものだと思います。駄作だと思ってもそのまま「駄作」と書けば今後の取材でも角が立つし、レーベル側の営業からも良くは思われない。

そんなこともあってディスクレビューは抽象的な作文でお茶を濁す音楽雑誌は多い訳ですが、バーンはかなり正直に書いてあるのと、評価が点数になるところが非常にわかりやすい。点数制は問題だと考えているファンも多いようですが(たまたま担当になった編集者の主観だから)、トータルで言えばメリットがあると思われているのか、ここは創刊当初から変わっていません。

今はサブスク時代なのでそこまで影響はないかもしれませんが、その昔CDは買うまで中身が分からない時代も長かったので、結構人気のバンドで期待されていたニューアルバムが70点ぐらいだと、買おうかどうしようか迷うなんてことは何度もありました。

支持される理由の2番目に行きましょう。

・広告が少なく、記事と広告がハッキリと分かれている

音楽誌には広告が入っています。というか雑誌ビジネスで言えばこの広告をどれだけ入れられるかが勝負なわけですが、バーンは昔から広告記事が少なめでした。新作発売の広告はかなり入っていましたが、それぐらいです。先日休刊になったギター雑誌の「Player(プレイヤー)」の最盛期には半分以上が楽器メーカーや販売店、練習スタジオの広告だったと思います。記事を探すのに苦労するぐらい広告が入っている時代もありました。雑誌全体で企画自体が宣伝を兼ねているようなものも増えてきましたが、バーンはそういうことは(少なくとも見た感じ)やっていません。

支持される理由の3番目です。

・記事がしっかりしている

支持される理由の1番目2番目にも通じるのですが、主張がライターや編集部の考えが軸にあってしっかりしています。伊藤政則氏のコラムをはじめ、小さい記事の一つ一つにもアイデアや工夫があり情報の宝庫です。

例えばミュージックライフ(休刊)だと流行りのかっこいいアーティストのピンナップで売る作戦で、記事はおまけみたいなものもありましたし、音楽雑誌で写真を中心に見せる媒体は多いんでしょうが、バーンは読ませる記事が主体です。新作発表時のインタビューなんかは読み切るのも大変なぐらいアーティストと真剣インタビューで分量も多かったりします。

支持される理由の4つ目は、

・日本におけるメタル情報のキュレーターとなっている

ことでしょう。要するにメタルを語る上で必要な情報はほぼバーンを読めば書いてあるということです。ただし、ここは好き嫌いが分かれるところでもあります。コアなメタルファンの中には、バーンの編集方針やカバーするアーティストの範囲や厚み、特定バンドへの肩入れが気に入らないファンもいるわけです。

例えば、初代編集長はロニージェイムスディオ好き(だった)らしいのですが、バーンにそういう意見を入れたからだと思いますが、人気投票でロニージェイムスディオはボーカリストで初年度と次年度で2年連続1位になっています。良いボーカリストで人気もあるとは思うのですが、さすがに2年連続で1位を取る人気はどうかと思うので、読者が洗脳されていると思うファンが出るのは当然です。そういうバーンに強く影響を受けている層を「バーン信者」と呼んだりします。一方でボンジョビが1位になると今度は「そんなのよその雑誌でやれよ」という感じになる。第1回記事でも書きましたが、バーンは日本のヘヴィーメタルの中心でもあり、それが理由で好きではない人もいると言われる所以です。

支持される最後5番目の理由は、

・読者(メタルファン)と雑誌(編集部)の信頼関係が厚い

ところではないかなと思っています。この信頼はこれまで説明した4つの理由を地道かつ長く続けることで成し遂げられることだと思っていて、並大抵のことでは実現しません。

例えば、昔「ロッキンF」という雑誌がありました(今また復活しています)。ロッキンFはもともと洋楽中心のロック系雑誌だったのですが、80年代のメタルブームでメタル雑誌に移行し大成功しました。そして80年代終盤のバンドブームや90年代のヴィジュアル系バンドブームでさらにそちらに移行したのです。

しかしその変わり身はうまく行きません。メタルファンはバンドブームには付いていかず、ビジュアル系バンドのファンはもともとメタル雑誌であったロッキンFの購買層にはなりませんでした。結果的に読者との信頼関係を失い休刊になりました(あくまで私の考えです)

バーンは違います。昔から点数レビューを続け、正直な記事を書き、広告と記事は分かれていて、今日も世界中から良質なメタル音楽と情報を集めている。グランジやパンク(メロコア)が流行っても、そういうバンドが記事になることは普通ありません(表紙は絶対にない)。当時、伊藤政則氏がパールジャム全盛期のニューアルバムのレビューで「僕には何が良いか全然わからない」という感想が書かれているような雑誌なんです。

馬鹿正直なメタル雑誌、しかもそれをひたすら続ける継続性が読者に伝わっているからこそ、40年も続いてこれたんだと思います。もちろん、編集部担当者のハードワークのたまものでもあるでしょう。

40年間バーンが育てた日本のメタル文化は簡単には廃れないはずです。バーンが育てたメタルファンや音楽ファンがこれからもバーンを支持し、読み続けるでしょう。

雑誌不況やら音楽不況で業界全体がシュリンクしていく中で大変だとは思いますが、1号でも長く続けてもらえたら嬉しいです。世界に誇るメタル雑誌がバーンだと思います。

3回に渡りお届けしたバーンの記事はここまでです。

また別の記事でお会いしましょう!

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