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夏の朝のはじまり🧢

昨晩寝るのが遅かったせいで、全く起きそうにない娘を尻目に、5歳の息子とラジオ体操に参加した。

小学生の姉が学校で配られるラジオ体操のカードを弟のために1枚余分に持って帰ってくれた。姉と同じカードがうれしくて、初日から張り切って参加している息子である。

その息子、起きるやいなやゴソゴソとなにかしている。覗こうとすると隠れようとする。追いかけると逃げる。脱衣所でつかまえた。片手にはラジオ体操カード、片手には消しゴムをもっている。
「だいじょぶよ、貸してごらん?」と声をかける。
どうやら昨日ハンコを2箇所押してしまったらしい。ハンコが7個貯まったらお菓子、ルールのためだ。母にバレると思ったのか、ズルを消しゴムで消そうとしている。インクは消しゴムでは消えないからきれいにならないと躍起になっている。摩擦で模様はほとんど見えなくなっていた。
「新しくハンコを上からおせば大丈夫だから」と納得させて出発する。
恐竜の刺繍の入ったお気に入りの赤いTシャツに着替え、青い鼻緒のぞうりを履いて駆け出す。
黄色いへんしんバイクは、スタンドのネジがゆるんでいて、手で操作している。徒歩でも2-3分だが、自転車で行くらしい。

公園にはざっと40-50人くらいの子どもたちが集まっていた。去年よりも参加者が増えているようだ。この地域のラジオ体操は、コロナ禍はオンラインで、去年からは公園で、お父さんたちが中心となって開催してくれている。
朝日が差し込み、公園と子どもたちを照らしている。日射はすでに強いが、日陰に入ると風を感じる。
蝉の声をバックに早朝の青空の下、前に立つお父さんたち数名と3人の小学生のお兄さんたち。見様見真似で体操する息子の後ろ姿を眺めながら、母も久しぶりのラジオ体操第一。歌も体操も体が覚えてる。

曲が終わると我先にとスタンプの入った箱にこどもたちが集まる。スタンプを押してくれるお父さんの前に並ぶ子もいる。息子は箱を目がけ、人だかりをくるりと回り込んで赤いハンコを手に戻ってきた。小さな膝の上にカードを乗せ、ペロペロキャンディの柄のハンコを丁寧に押した。昨日の痕跡はほとんどきれいに消えた。

体操で伸びた足は軽やかに、帰り道は爽やかな気分で。夏の1日の始まり。今日も忙しくなりそうである。

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