Dr.コトー診療所 感想


映画としてはめちゃくちゃ感動!!よかった!
けど医療従事者のはしくれとしてはやっぱりうーんとなってしまう…

台風の影響で村の人々が怪我して診療所に運び込まれていく。トリアージも行わず「先生!まだですか!」「先生!こっちは!」診療所の中は皆パニックで全く人手が足りていない。もう最悪の状況。

1人は心肺停止の状態。「こんな形で見送りたくない」という理由で心肺蘇生を続けるコトー。

そこに心筋梗塞のミドリさんが運び込まれる。ミドリさんは結構怠薬しており何故か避難所から大台風の中勝手に家に帰り、救助された時には心筋梗塞を発症していた。コトー先生が最終的にOPEして助かったけど、まあ、そりゃ倒れるやろな(笑)という感想。ここは結構設定がリアル(笑)

「先生!こっちは!まだですか!」鳴り止まない声。そして看護師の妻が切迫早産で倒れる。当たり前のように働いていたが、そもそも妊婦なのにこの過酷な状況で働いてるのも可哀想…。心肺蘇生をやめ、妻を助けようと近寄るが自分も倒れるコトー。最悪な状況。倒れたコトーに誰も脈すら測らず近寄らず皆棒立ち。さっきまであんな叫んでたのに!!

判斗は心配蘇生を変わり状況に絶望し「だから言ったじゃんかよ…1人で島の人間を診るなんて無理だって。無理だよ…。ゴトー先生は病気なんですよ!病気の人間をここまですり減らしていいのかよ!?」と涙を流す。

この言葉に私も、そうそう、やっとまともな言葉が出てきた、、、と思いながら状況はカオス。どうなるんだろう、、、と思っていた矢先。
村人がコトーに向かい「先生!!俺は諦めねえぞ!!先生!!!」といい、体を揺さぶる。

あれ??正気???って思ってしまった。え?コトー先生死にかけてるよ?見てわからない?諦めるとかそーゆー問題ではなく。医者って不死身だと思っている?白血病なんよ?病気なんよ?まじ正気やない。

結局コトー先生起きたからよかったものの、、、
あれ起きなかったらあの状況えぐいよな、、、

判斗が途中でこの村でしばらくコトー先生の代わりをして欲しいって言われた時に「俺はここの医者にはなれない。1人で診るのは到底無理。たまたまコトー先生みたいな優秀な医者がいたから良かったがそうそういない。そもそも制度から見直した方がいい」って正論ぶちまけてたが、ほんとにそう。

それに対して村人キレてたけど、どれだけの労力が必要かわかってない。コトー先生がいい人すぎて次来る人のハードルが高すぎるし、やりがいの反面多忙すぎて自分が壊れていくのが想像できる。物語の中では判斗が悪く写っているが、この意見がリアル。判斗がめっちゃ医療従事者の代弁してくれている。

ドラマじゃなくてもやっぱりあーゆー状況とか認知?になりうるのだろうか?と考えると自分がであの現場にいたら絶望しかない。

コトー先生はみんな助けたいと、医者の鏡のような存在だが、皆その優しさに甘えすぎだと思う。いままで散々助けられてきたはずなのに。

到底1人では回らない状況で、自分の身すり減らして命削ってまで人の命守ることを強要され、逃げ出すこともできない。コトー先生のように「患者のために」と自分の命より村人の命を優先できる人が一流なのかもしれない。しかしそれでは残された妻や子供も可哀想だと思う。先生も人間なんだからさ…と言いたくなる。いやでもほんとすごいあのメンタル。

最後ミドリさんの手術が無事が終わった後、先生の心配は少しもせず「やっぱ先生は違うな〜」「やった〜」と喜ぶだけの村人に鳥肌と恐怖。

結局、医療従事者は搾取され続けて死ぬまでなんの権利も与えられず働くのが当たり前、綺麗だという概念を描いた作品に捉えられてしまつ。でも、判斗の発言からリアルな医療現場の声を伝えようとしてくれている?感じがして綺麗にだけ終わらせていないのが良かったとも思う。

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