見出し画像

入院2日目 【手術当日】

入院1日目の記事はこちらです。

手術当日の朝。午前6時に起床し、体温と血圧を測る。朝食はもちろんなしだ。午前7時ごろ看護師さんが点滴をしにきた。私はもともと採血で看護師さんを困らせることが多かった。血管が細いのか血管が表面に浮き出てこない体質なのか理由ははっきりしない。

今回もやはり看護師さんを困らせてしまった。看護師さんが右側の手に針を刺そうとしたが、うまくいかず。
「好き嫌い多い?寒さに弱い方?」と看護師さんが聞くので
「確かにそうかもしれないですね」と答える。
看護師さんが部屋を出て行って数分後、別の看護師さんが入ってきた。たぶんこちらの看護師さんの方が経験年数が上なのだろう。二番目の看護師さんは左側で挑戦しようとしている。結局2回刺したがダメだった。
「あなた痛みに強いわね。いたっっとか言われるとこちらも困っちゃうので、よかったわ。」

彼氏からさまぁ〜ずの大竹さんも私と同じような看護師泣かせの腕を持っていると聞いた。大竹さんの場合は、看護師さんに「1回で成功してくださいよ、絶対ですよ」とプレッシャーをかけ、針を刺された時も「いたいいたい!」と言うようにしているらしい。私と大竹さんどちらのほうが成功率が高くなるのか実験したい。

「ほんとうはここにやりたくなかったんだけど、ごめんね〜」
左手の手首のあたりに針が刺さり、ようやく点滴が開始した。点滴を一回刺してしまえば、麻酔など自在につけかえることができるらしい。何回も点滴針を刺されなくていいのだと安心した。

9時半からお母さんが来た。入院日数が7日と5日どっちなのか問題に関しては、先生が5日で大丈夫だと言っていたと看護師さんから聞いた。入院日数を間違えているなんて、手術も大丈夫なのかと不安を吐露した。お母さんは豊富な手術の経験からアドバイスを伝える。
「手術台にいけば、まな板の上の鯉の状態になるから、大丈夫よ!」
帽子とマスクをした看護師さんが現れ、それでは行きましょうと言われ、手術室に向かった。

手術室のベッドの上に乗ると、ドラマでよくみる丸が何個もついたライトが見えた。麻酔科医の先生が背中に針を刺す。これをすることで手術後の痛みを軽減させることができるのだと説明されていた。少し痛かったが、すぐに感覚がなくなった。仰向けになり、全身麻酔が入るところで意識が薄れて、記憶がなくなった。

目が醒めると、部屋のベッドにいた。13時くらいだった。手術はちょっと延長して2時間くらいかかったらしく12時に無事終わったそうだ。意識が朦朧とする中、お母さんが私の卵巣から摘出されたものの写真を見せてくれた。この写真は入院中何度も「私のお腹の中にこんなもの入っていたのか」とニヤニヤしながら見ることになる。10cmくらいの塊と3cmくらいの塊があり、その中から髪の毛がのぞいている。ぜひ切り開いて中を見たかった。残念。

17時くらいになると意識がはっきりしてきた。上司に無事手術が終わったら連絡してほしいと言われていたので、会社のスマホで連絡をいれる。そしたら、よかったねと絵文字付きの丁寧な返信がきた。そして、手術が終わった安心感からお腹がすいてきた。看護師さんに
「お腹がすいたんですけど、いつご飯食べられるんですか」と聞くと
「明日の朝ですよ。普通手術終わってすぐにお腹すかないですから、すごいですね」と驚かれてしまった。

21時の消灯時間が来て、眠れる薬を点滴に入れてもらった。しばらくすると、自分の体が水中に沈んでいくような感覚になった。私は怖くなって意識を手放すことができなかった。そうこうしているうちに睡眠薬の点滴が終わってしまった。血栓ができないようにする機械が足にはめられており、それの音もけっこう大きかったので気になる。仰向けの体勢を変えることができず、寝心地が悪い。ただ、お腹の痛みは若干あるもののあんまり気にならなかった。

目を瞑っていると、部屋の扉が開いてササっと動く音がした。泥棒か?と思って怖がったが、よく見ると忍者のように低い姿勢で動く看護師さんだった。そしてたまにうとうとすることを繰り返し朝を迎えた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?