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クサギの採取から靴になるまで1_革靴教室5日目

某月某日、この日は工房へ向かう前に、須磨海浜公園駅から徒歩数分の「そばや 衣掛庵」へ行った。
蕎麦はサラッとした食感で胃袋はもう少し欲していた。とてもおいしかった。やはり夏は蕎麦に限る。次は大盛りにする。

小盛りそば、最初に出されるお茶がきな粉の味。
フグの子粕漬け。美味。

5日目。
▼アッパーの染色
教室予約を入れて自分の尻を叩いて仕上げた。

染めていくうち、えっこれどんな感じになるんだろうと不安や、本当にこれで大丈夫か…?と染色時間7時間をかけたのちにそんな疑念が浮かび上がりどこか投げやりな気持ちにもなった。もっと信念が欲しい。


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「クサギ」と呼ばれる植物から取れる青い実(ブルーベリーのように深い青紫ではないが鮮やかな青い実。自然豊かな山の中に自生していて秋になると熟してきて落ちるので、それを採取してもらった。アッパーに使ったクサギは鮮やかな物を使ったけれど、もちろん場所によって液色が緑寄りの実が多かったりもする。もちろん採取する時期にもよるだろうけれど。
クサギから取れる液(原液)を革の上にそのまま取り出して染色…(今思うとワイルド…!)

煮出しで得た液で染色したり、いろんな条件を変えて何度か試みたが、この染色手法でとても綺麗な色が得られた。母に見せると「アジサイのような色味で綺麗」と言ってくれた。

また今回、100%天然染料での染色で靴を作るというまたとない試み。ある日、先生からふと言われた「あえて」という言葉が私の決意を生んだ。
染色堅牢度について今回は取っ払って、気持ちの赴くままにやってみよう、そう思った。

▼アッパーのカッティング


カッティングをしてレースホールを開けると少し印象が変わる。

上が先生に切ってもらったタン、下が私。
上の先生が手を入れたものは、直線部分は断面が真っ直ぐ入ってて、カーブ部分は断面に少し角度がついていた。その角度の入り具合が絶妙に美しかった。
私がカットしたカーブはガタガタさが滲み出てる。
流石に、先生からこれはどうした…って心配された。

▼ビーディングテープの作成
これは驚いた。テープはなんと自作。染色で使用した同じ革を利用して革を漉き、両面ヤスリをかけて接着していく。
先生「意外と時間かかるやろ〜」
私「こういう小さな工程の積み重ねですよね」
先生「おぉ、言い聞かせてるな〜!」

靴製作は人生と似てるなとよぎる時がある。

▼かかとになる瞬間
写真を見返していてなんとも楽しい瞬間だった。

カカトを縫っている様子
カカトの伸びどめテープ接着
割ったカカトを縫い目から1mmのところを塗っていく。


カカトは型紙の段階でカーブにカットしておけば、あとは縫うだけでこんなにアンニュイなフォルムになるのか、深い。

▼ライニングと合体

▼ハトメ装着

わたしの家にもハンドプレス機欲しい。音がないのとプレスしたら一発で装着完了。

物を作っている時、無心になることが多い。手を動かして何かをする、ということはエネルギーが必要で、そのエネルギーはどこから来るのだろう、と考える。
革靴教室を終える時、いつもエネルギーの消耗感と少しずつ靴になってきているという達成感が入り混じり、帰りの電車ではポジティブになっていることに気づく。自分にとって物を作るとは、気持ちの軌道修正のような、大事な役目を果たしている気がする。

完成までこの色が保ちますように。

次回は吊り込みです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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通っている工房は↓
「こうべくつ家」
https://www.kutsuya-koubou.com/index.html
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