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結婚式の実体験『新郎が潰れてしまった』

これは私がまだ、新人だった頃のお話。

その披露宴で、私は『スポット係』を任命されておりました。
入場や退場、その他のセレモニーで新郎新婦やゲストにスポットライトを当てる役割です。

したがって、料理や飲み物をサービスしながら新郎新婦を注意深く観察しなければなりませんでした。

挙式は無事に終了。
いよいよ披露宴がスタートします。
新郎新婦入場、祝辞、乾杯の挨拶と順調に進んでいきます。

乾杯した途端、新郎新婦の席には主役の2人にお酌をしようと長蛇の列。
親族や親戚、友人までもが次々と新郎さんのグラスにお酒を注ぎにきている。

とても慕われてる新郎さんなんだなー。

式が進み新婦さんがお色直しのため中座、
新郎さんもお召し替え。
お母さんをエスコート役にサプライズ指名。
私が照らすスポットライトに照らされ、
おふたりとも笑顔で一旦会場を後にしました。

『まもなく新郎新婦様が入場しますので、スポット係は待機をしてください』

会場ドアを開けると装いを新たにお二人が入場。

(あれ?新郎さん、様子がおかしい。)

よくみるとスポットライトに当たった顔がほんのり赤く、足取りもふらふら。

(これ、酔っ払ってるな。)

着席後もお酌の列は途切れることはない。
注がれるお酒を一生懸命飲む新郎さん。

(もしかして)

高砂席を確認すると、、、。
(捨て杯がない!!)

捨て杯というのは、新郎新婦さんが注がれたお酒を密かに捨てるためのバケツのようなものです。
これが無かったため、新郎さんはひたすらお酒を飲み続けなければならなかった。

これは明らかにこちら側のミス。
私からインカムで会場キャプテンと担当プランナーに連絡しましたが、時すでに遅し。

披露宴の結びに当たる新郎謝辞では、呂律が全く回らない新郎さんのスピーチ。
なんとも閉まらない形で披露宴はお開きとなりました。

その後、会場キャプテンやプランナーとの間でどのような話がされたかは、当時新人の私にはわかりません。
私がこの時の新郎、もしくは両家を代表する立場だったとしたら、とても恥ずかしい思いをしただろうと思います。

小さなミスがとんでもなく大きなアクシデントを招くことは、この業界に限らず多々あると思います。

どんなに些細なことでも確認を怠るなということを改めて思い知らされました。


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