独立までのタイムスケジュールと各時期の思考・行動

独立までの過程をかなり細かく区切ったつもりです。また、各項目について詳述する別記事を書くことがあります。
本文中では以下の用語を用いますのでご了承ください。

前々所:登録から2021年10月末まで所属していた事務所。損保系事務所でボスは30期代。事務所名を言うと「いいところじゃん」と言われる系事務所。ボスから懲戒請求するぞと言われましたがまだされていません。
前所:2022年3月~2023年12月まで所属。いわゆる新興系。代表の思想が強い。


1.独立を決める前(2022年12月まで)

私は2021年9月半ばから2022年2月末までニートでした。厳密にいえば2021年10月末までは前々所との契約が維持されていましたが実質出所はしておらずニート状態でした。
その影響で2022年は社会復帰に専念し、個人事件もなく大人しくしていました。
しかし、今後の身の振り方を考えたときにこのまま前所に居続けるのはたぶん厳しいなぁと感じていました。
理由は色々ありましたが、前所と関係ない私サイドの事情ですと、ニートを脱して以降、思った以上に無理がきかなくなっていたことが挙げられます。
正直な話、ニートになったころはメンタル的にかなりキており、その後遺症かもしれません。
余談ですが、私には行政書士をしている友人がいます。都道府県が異なるので事件の紹介などはありませんが、同じ士業であり友人も独身であることもあって最近は会うと「独立する?」「やるなら身軽な今しかなくない?」「わかる」という会話を繰り返していました。
資格としての独立のしやすさは弁護士の方があると思いますが、友人は大学を卒業して割とすぐ行政書士になったのでキャリアは長いです。そういった事情もあって独立するか否かというのはよく話していました。2022年の年末にも会っており、似たような会話をしています。

2.独立の意思決定(2023年1月)

漠然と身の振り方をどうしようかなと思っていましたが、老舗というか歴史あるおじいちゃん事務所(前々所)にもクソデカ事務所(前所)にも適応できない時点で独立以外の選択肢がないことに比較的早い段階で気づきました。インハウスや自治体は検討すらしていません。
しかしながらこの時点で私のメインバンクの残高は100万円以下(取引履歴を見返したら70万円位でした)だったので、開業自体もその後の経費の支出もままならない状態でした。そのため、個人事件などがうまくいっても現実的には2024年のどこかで独立できれば上等かなと考えていました。
このころから北先生が監修されている独立関係の書籍をすでに所持していたものを除き購入し、「へー」という感じで眺めていました。この時期はこの位しかしていません。

3.個人事件の確保(同年2月~)

私は、2022年の10月から弁護士ドットコムに有料掲載していましたが全く問い合わせはなく、完全に金をドブに捨てていました。ちなみにすでに解約しています。
とはいえ、なんのコネもないコミュ障の私が個人事件を確保し独立資金を稼ぐにはネットで広告を出すくらいしか方法がありません。
そのため、ココナラに広告を出しました。これは予想以上に上手くいき、結局独立資金はほぼココナラのみで稼ぎました。とはいえこれは地方都市という地理的条件が大きく影響していると思います。ココナラに有料掲載している弁護士は片手で足りる程度でした。
例えば東京で独立しようと考えている方が同じようにやって上手くいくかといわれると難しいかもしれません(東京エアプなので詳しくはわかりません)。
変動はありますが、均すと月に1件程度は受任できていました。広告料が月額3万3000円なので文句のつけようもありません。
ここからしばらくは開業資金の調達がメインでした。そのため、外形的には個人事件と事務所事件をやっているだけの普通のイソ弁でした。
ただし、事務所で法律相談を担当しても受任することは徐々に減らしていました。受任自体によるインセンティブ報酬もあったので金銭面だけ考えれば片っ端から受任しまくってインセンティブだけ貰って放り投げるのが最適解です。ただ、私が所属していた支店には仲の良い(と自分は思っている)同期も居ましたし、後述の引き継ぎ案件で地獄を見た身としてはそこまでする気にはなれませんでした。甘ったれるなと言われればぐぅの音も出ません。
そのため普通のイソ弁と言いましたが経営者層からすれば問題イソ弁だったと思います。
この部分は資金調達編として別記事を作成し詳述する予定です。
そのほかのイベントとしては3月ごろに控えめに言ってとんでもない依頼者(大まかにいえば電波系です)を退職者の引継ぎで押し付けられ、独立を可能な限り早めたいなと思ったくらいです。

4.退職意思表明(同年7月)

個人事件を数件受任しつつ、開業費用の目途が立ってきていました。
当時は開業費用としてググった結果や書籍などに基づき300万円程度を想定していましたが、この時点で個人事件の売り上げが250万円程度だったので上納などを考慮しても2023年がまだ5か月残っているのだから何とかなるだろうと考え、7月上旬に退職表明をメールで送りました。ちなみに代表ではなく中間管理職の弁護士に送っています。
退職時期についてはとても悩みました。そもそも2024年内の独立を想定していたことや、書籍などには準備期間として6か月程度はみておいたほうが良いという記載が多かった一方、上述の依頼者の対応が苦痛すぎること、想定以上に資金集めが順調であることへの高揚感などから予定より早めたいとも考えていました。
丁度この頃実家に顔を出していたので、独立の報告がてら母にこの悩みを話したところ、「今のお前は独立の高揚感にやられているから当初の予定の2024年より早めるのはやめとけ」という趣旨のアドバイスを受け、反論できませんでした。
そのため、退職時期は当初の想定の中で限界まで早めた2023年12月末としました。
形式的な慰留はありましたが、上記の通り問題イソ化していたこともあってか退職自体はスムーズに合意できました。
この時期は近しい友人や親戚に独立することを伝えていた以外は個人事件と事務所事件を処理していたくらいでまだ大したアクションはしていません。

5.物件探し(同年6月~8月)

独立するなら当然事務所物件は必須です。
ハコが決まらなければレイアウトも家具の大きさも何も決まりません。
そのため退職意思表明の少し前、6月ごろから物件を探し始めました。
特別なことはしておらず、「地名 事務所 賃貸」で調べていい感じの物件に問い合わせただけです。
東京など都市部であればレンタルオフィスも選択肢にあると思いますが、当地にはそんなものはありません。なので普通に物件を借りる一択です。
物件数自体もたくさんあるわけではないので、内覧もそれほどは行っていません。というか2件しか行っていません。
いい感じの物件があったので割とあっさりそこに決め、8月には契約していました。賃料は11月から発生しています。
物件探しについては別記事にて詳述する予定です。
ほかの出来事としては父に連帯保証人を頼んだ際に収入を聞いて泡吹いて倒れたくらいです。恐らく私が父の年収を超えることはないでしょうね…

6.レイアウト検討・備品選定(同年9月)

8月に契約したものの、大家さんのご厚意でトイレの改修・カーペットの張替え・エアコンの交換・電灯をLEDにするといった工事をしていただける(私の費用負担ゼロ)ことになり、これに1か月くらいかかるとのことでしたのでこの時期は準備としては割と停滞していました。
その代わりオフィスコムのサイトを眺めて家具の妄想をしたり、ガジェット系youtuberのデスクツアー動画を見漁ってデスク周りの妄想をしたりしていました。この頃は妄想しかしてません。
弁護士一人のワンオペ事務所なので、家具といっても椅子と机が何セットも必要ということもありませんでした。
また、物件の形がシンプルだったこともあり、パーティションで仕切るくらいで内装工事等は不要との結論に至りました。開業費用のうち物件の初期費用と並ぶ高額支出なので、これが不要なのはうれしい誤算でした。

7.備品購入・組立(同年10月~11月)

10月に物件の引き渡しを受け、9月に妄想した備品を順次購入、組み立てました。組立ててくれるサービスもありましたがケチってすべて自力で行いました。ただこれが実際やってみると中々大変でした。GALAXYWatch6が組立て作業をその他のトレーニングとして検出してきたので客観的に見てもまぁまぁ大変な作業だったはずです。女性だと選んだものによっては一人では少し厳しいかもしれません。
護身用の木刀以外に特に変わったものは買っていませんが、この頃Windowsのノートパソコンも購入しています。ニート時代に血迷ってmacbookairを購入したのですが全く使いこなせなかったほか、Googleワークスペースとの相性もWindowsのほうがよさそうだったので結局別途購入しました。
この頃になると、平日昼間に当然のように事務所を抜け出し備品の受け取りや組み立てに勤しんでいました(前所から物件まで徒歩10分ほどです)。また、備品の受け取りという名目で物件に行ってダラダラさぼったりもしていました。
新興系なので代表に見られてとやかく言われたりはしませんでしたが、前々所のような一般的な街弁で同じことをやったらボスはガチギレ待ったなしと思われます。支店長もいい顔はしていなかった気がしないでもないです。土日などにうまくやりましょう。
具体的に購入した備品は別途記事を作成し詳述する予定です。

8.インフラ整備(同年11月~12月)

電話、FAX、インターネット開通等もこの頃合わせて行いました。
思っていたより時間がかかります。特に電話とインターネットはなんだかんだ1か月以上はかかりました。
電話はクラウドPBXで市外局番がつくものを探して契約しました。自分の携帯電話で事務所の番号での受信・発信が可能です。
今後不都合が出ることは考えられますが、サービスを乗り換えて番号が変わっても面倒なだけなのでまあいいかの精神で決めました。
FAXはインターネットFAXにしました。ニートになった際に弁護士会から自宅登録でもFAX番号が必要と言われたため契約したサービスは使い勝手が非常に悪かったのでどうしようかと思いましたが、今の時期に他社製品を試してダメだったらすぐ解約して普通のFAXにすればいいと考えました。先に独立した学部の先輩に勧められmovfaxを契約し、使い勝手に問題なしと判断してそのまま採用しました。持つべきものは可愛がってくれる先輩です。
インターネット回線は正直よく分からなかったのですが、ahamo光に問い合わせたら携帯回線の契約があれば事業用物件でもオッケーという回答が得られたのでそのまま進めました。配信者になるわけでもないので普通につながれば問題ないと思います。
メールについては上でもチラっと書きましたがGoogleワークスペースを採用しました。月額2000円以下で独自ドメインのメール、クラウド、カレンダーが利用可能であるうえ、プライベートで慣れたインターフェースで使えるのはとても便利です。また、これを使うかは人によると思いますがホームページや問い合わせフォームの作成も可能です。恐らくほかにもいろいろ機能がありますが、使いこなせてはいません。
この頃もちょくちょく事務所を抜け出していましたが、さすがに12月に入ると引継ぎのあれこれやらで慌ただしくなりこれまで程外出して行方不明になることは難しくなりました。一方で事務所事件のモチベーションは劇的に低下しているので徒労感が大きいというか精神的には割と参っていました。

9.終わりに

可能な限り独立の過程を細かく区切り、各パートでの思考、行動について記載しました。
全体的な流れを記載しているので薄味な気もしますが、詳述する予定の部分もありますので総論的なものと思っていただければ幸いです。
インフラ関係がギリギリになってしまいましたがここにもっと早く着手すれば少なくとも1ヶ月は早く開業できた気もします。
他の部分は体感的には割とスムーズに進んでいました。もう一度やり直したとしてもインフラ関係以外での準備期間の大幅な短縮は難しかったと思います。
都市部であればレンタルオフィスを利用して什器備品の選定や組立てを省略するくらいでしょうか。
相応に貯金がある方であれば私の物件探しくらいの所から始められるので意外とすぐ出来ちゃうという感覚になるかも知れません。
なお、退職意思の表明から開業まではできるだけ短い方がいいと思います。事務所事件のモチベーションをかなり失う(でもやらないといけない)状態になるほか、諸々のイソ弁であることに伴うストレスと独立後の不安、準備の忙しさなどが一斉に降りかかり肉体的にも精神的も結構きついです。

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