記録袋の導入(ワンオペ事務作業の省力化)

 弁護士の記録の管理はファイリングが多数派だと思います。
 修習や実務で見た限り、記録袋を用いているのは1割以下であるように感じます。私も初めて記録袋を見たときにはメリットが分かりませんでした。
必要な書面や証拠を探しにくくないのだろうかとか耐久性どうなんだろうかとか実用性を疑問視していました。
 登録してから所属した2つの事務所でもファイルに綴じて記録を管理していました。しかしながら、なんの書類だったかは忘れましたが事務員さんに穴開けていいかを確認されたときに記録袋には原本に穴をあけるリスクがないというメリットに気づかされました。
 とはいえ、自分一人袋を使うこともないですし、事務員さんがファイリングをやってくれるので正直に言えば特に気にしていませんでした。
 しかし現在ワンオペ事務所をはじめそろそろ半年になろうかという今日この頃、このファイリングを含めた書類整理は(主に心理的に)かなり重いタスクとなっています。
 「綴る!」と一言で言っても、①書類に穴をあける、②どこにファイリングするか決める、③その場所までに存在する書類をいったん引き抜く、④穴に通す、⑤必要に応じてインデックスをつける、⑥③で引き抜いた書類を元に戻すという6つの工程が存在するのです。熟練の事務員がどれだけスムーズにこなしても1分以上はかかるでしょう。私がやったら場所間違えたりインデックスで2枚挟んだり、書類を戻すときに穴に上手く通せなかったりするので5分はかかります。しかもこれが1日に数回発生することもざらなのです。面倒すぎます。正直後回しになっています。
 しかし、ファイリングを後回しにした場合に待ち受けるのは書類、場合によっては原本の紛失です。今はまだ案件数が少ないので混入等も発生していませんが、このままでは不可避の死です。
 一人で気楽に生きていく分には幸い何とかなっている現状ですが、ファイリングのために人を雇うのはさすがにあり得ないというか破産待ったなしになります。

 何かいい方法はないかと考えた結果、試験的に記録袋を導入しました。試しに三件ほど記録袋に保存してみましたが、思考停止ですべてそこにぶち込むことができるというのは大変ありがたいことです。工程も①マジックテープを開ける、②書類を放り込む、③マジックテープを閉じるの3工程です。所要時間10秒未満、上記の6工程の30分の1以下です。
 もちろんここから必要な書類を探す手間というのは発生してしまうのですが、現状のファイリング後回し祭りでも同じ手間がかかりますし、それなら紛失のリスクが低下する現状の方がはるかにマシです。
 依頼者名もテプラで作っているのではがして再利用可能ですし、これは導入してよかったです。前所から持ってきた個人事件は前所の事務員さんが綴ってくれたファイルを使っているのですが、これも全部外して記録袋に入れたほうがいいかもしれません。
 過去に見た記録袋を用いていた先生方がワンオペなのかはわかりませんが、記録袋による省力効果はかなり大きいです。スキャンさえちゃんとしておけば毎回記録袋を漁るという作業も減らせるはずです。


 ワンオペ事務所は当然ですが独立前に事務員さんにお願いしていた作業を全て自分で行う必要があります。
 例えば私の場合、郵送物についてはすべて青レタパです。事務所名が入った封筒を用意しようかとも考えましたが、切手の値段とか絶対間違えますし、切手をちまちま用意する手間に耐えられません。普通郵便の場合、①重さを量る、②切手代を確認する、③切手を用意する、④切手を貼る、⑤封を閉じるという作業をこなしてやっと投函です。レタパならぶち込んで閉じるだけです。所要時間は半分以下でしょう。また追跡用シールでどれだけ使ったかわかるので実費の処理もイージーです。
 宛名は全部テプラです。手書きは論外です。最初は自分の住所氏名は分割印を用いていましたが、どうせ送り先住所はテプラの幅36㎜のテープで作るのだから自分のも一緒に用意すればいいということに気づきました。現在分割印は職務上請求と定額小為替購入の際にしか使っていません。余談ですが一人事務所で分割する機会はないということに開業してから気づきました。イソ弁を雇うことは恐らくないので分割印は不要でした。普通のスタンプ印でよかったです。
 書類の処分はヤマトの溶解です。シュレッダーは怠すぎます。
 他に軽減したいのは証拠書類の作成です。現在は1セット作ってからスキャンして保存→FAX送付ができない場合は適宜印刷という流れですがなんやかんや時間がかかります。現在使用している家庭用複合機は排出部分が甘いのか順番がバラバラになってしまうことがままあり、これも悩みの種です。いい方法があったら教えてください。
  裁判所周りも課題です。調書取りに来いと言われても今月もう裁判所行かないんじゃがということがワンオペの件数だと普通に発生します。というか何も言わず郵送してくれよ・・・

 事務作業の軽減はワンオペ事務所では最重要課題と言っても過言ではありません。デスクシェルフをDIYしマグセーフ雲台を取り付けて悦に浸っている場合ではありません。これからも改善できた場合はnoteでまとめようと思います。

2024年6月10日追記

記録袋内の最低限の書類の分類のため、試しに5色入りのクリアファイルを購入しました。通常の透明クリアファイルと合わせて6種類に分類可能になりました。
①訴状等準備書面、②甲号証、③乙号証、④その他1、⑤その他2、⑥契約書・委任状でいったん分類しています。
まだ分類は手探りです。中に更に封筒を入れることも考えました。こちらは収納が面倒になりますが分類数が封筒が入る限り無限というメリットがあります。ファイル分類が失敗又は色が不足したら試してみますがそもそもファイリングが面倒で導入している記録袋ですので更に袋を増やすというのも失敗に終わる可能性が高い気がします。

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