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学生がSSや日常のふとしたことをゆるーく書き留めていくアカウントです。 定期的に更新していきます!

最近の記事

「Hallelujah」でシュレックを思い出した話

この記事を書いている現在、 窓の外を見ると、春の嵐というべき暴風雨が吹き荒れていた。 荒い風と、それに交わる雨粒とに身をさらされていた木の葉がぺったりと窓に張り付いている。ようやくどこかに止まることができたのだろう。 こんな天気の日は家にいることを決め、洋楽を漁っていたとき。 久しぶりに「Hallelujah」を聴いた。 私にとって「Hallelujah」は「シュレック」の挿入歌という印象が強く、 長年触れていなかったシュレックの世界観が一気に蘇ってきたような懐かしさ

    • SS【制服時代】

      タンポポが揺れている。 黄色の花弁が日光に照らされ、らんらんと輝いている。 その横を、制服を着た大人しそうな青年が通り過ぎた。 道脇のたんぽぽなぞ、彼の目には留まらなかった。 次の日も、そのまた次の日も、彼の目には留まらなかった。 しかしある時、彼はタンポポに目を留めた。 見慣れたはずの色彩がとても新鮮なものに見え、目を惹かれたのだ。 そして花弁の明暗を隅々まで見つめながら、今日あった出来事を思い返していた。 教室の匂い、視界にはペンを持ち震える自分の手、そし

      • SS【放浪船】

        その男は、地球出身だった。 名前は分からない。 当の本人ですら覚えていないのだから、これからも思い出せるとは思えないだろう。 彼は宇宙空間を漂う宇宙船の中で生きていた。 ただ一人、生き続けている。 自ら望んでこの状況を選択したわけではない。 目的の惑星に辿り着く前に、スペースデブリが船に衝突してしまったことから始まった。 それでも運よく船内にある酸素が外へと放出してしまう事態は避けれたものの、船の操縦、及び外部との連絡がままならなくなってしまったのだ。 積んで

        • SS【生命維持活動】

          太陽は平等に照らしていた。 「あ、少し離脱します。」 そう言って彼は、zoomミーティングから一時的に抜けた。 同僚たちは朗らかに彼に労いの言葉をかけ、会話を続行している。 彼は同僚たちの飛び交う声を背中で聞きながら、やや小走りでその場を後にした。 気持ちが落ち着かない。 血走った眼からは緊張感が感じられ、すれ違う人々は必然的に道を譲る。 彼の道を塞ぎ続けていたら舌打ちされそうだ。 怒鳴られるかもしれない。 そう思わせるほどの青白い顔を貼り付けていた。 そ

        「Hallelujah」でシュレックを思い出した話

          SS【画家のよりどころ】

          時はxxxx年ーー。 彼女はある新聞の単独インタビューに応じた。 なぜなら、彼女は世界最高齢記録を更新したからだ。 このニュースに世界中が彼女の噂で持ちきりになり、メディア関係者が彼女の元に押し寄せた。 医学の進歩と社会情勢の発展が、平均寿命の延長をもたらしたのだ。 さらに、歳を取るにつれ衰えていく体の部位があれば、臓器や血液、骨格、筋肉諸々を人工のソレに取り換えれば良い。 もっとも、医療を受けられる金銭的余裕のある人間に限られるが。 そして彼女は、その条件を誰

          SS【画家のよりどころ】

          SS【ブラックな旅人】

          彼は今、黒色の草原にいた。 じんわりと温かい気温、重たい匂いが漂う場所だった。 地平線が金色に輝き、辺りが明るくなっていく。 黒色から金色の草原へと変貌していくその合図で、彼は朝の訪れを悟る。 凛と背筋を伸ばし、絶え間なく足を動かし続けるその姿からは、 生き生きとした活気が伺えた。 彼はどんな困難でも打開策を模索し、挑戦を諦めることはない。 生まれたときからそういう奴だったのだ。 そうして生きてきた彼は、黒色の肌と強い誇りを持ち合わせていた。 そして世界に俺ほ

          SS【ブラックな旅人】

          SS【拝啓、博士へ】

          xxxx年、人類は「平和」に暮らしていた。 争いごとは滅多に起こらない。戦争も紛争もテロもなく、些細な悪戯さえない。 そして誰もが笑顔。そんな時代を人類はついに手にいれたのだ。 このような奇跡の時代の実現を、どれほどの先人たちが望み焦がれていただろう。 目まぐるしい科学技術の発展、そして平和を願った技術者の、汗と涙の結晶が世に送り出されたことから始まった。 それがこの奇跡の時代を成り立たせているもの……マスクだ。 詳しくは「自動表情言動操作用仮面装着機器」。 すべ

          SS【拝啓、博士へ】