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ブルーセーバーズ 九条編2話 対決

俺は九条慶太。九条コーポレーションの社長をしている。俺は最近研究室にこもっている。

「社長、そろそろお休みになられてはどうですか?」そう言って秘書の美鈴が話しかけてきた。

「いや、もう少し研究するわ。」俺はそう言って研究を続けた。

 俺は前回の1件で超人的な脳を手に入れたわけだが、そうなると次は超人的な肉体が欲しくなる。そこで自身の肉体を機械と融合させることによって超人になるわけだが、その機械を永久的に動かすエネルギー源が問題となっている。そのいいエネルギー源がどうしても思いつかない。いや、現時点ではこの地球上に存在しない。

「社長、そろそろお休みになられてはどうですか?」

「おい、美鈴!それ何回目だ!さっき答えたろう。」

「いいえ、あれから3時間経ちました。」

 そうか、もうそんなに経ったのか。俺は頭を冷やすことにした。それから美鈴が冷たい飲み物を持ってきてくれたので、2人で談笑しながら休憩した。そこで色々あって宇宙の話をしていた時、俺はふと閃いた。この地球が持っているエネルギーを利用できれば、地球ある限り永久的に機械を動かせるぞ!

「美鈴、片付け頼む!」俺は研究室に走り出した。


 そして俺のアイデアを形にするのに半年もかかった。途中で風花にも協力してもらって、2人でこのことだけに取り組んだ。俺たちは地球の地表からエネルギーを吸収できる装置を開発した。そしてそれを全身に融合させる機械に埋め込んだ。次に俺はコンバインマシーンを取り出した。

「本当にいいの?もう普通の人間には戻れなくなるよ。」風花が心配そうに俺に言う。

「ああ、もう脳は普通の人間じゃないよ。」

 慶太はコンバインマシーンを起動した。慶太の体に機械が融合されていく。まずは足、胴体、顔。融合にはひどい痛みが伴うが、慶太は意に介していない。ついに慶太の体が完全に機械化した。

「気分はどう?」風花が尋ねる。

「最高だ…。ちょっと外に行ってくるわ。」そう言って慶太は窓から飛び出した。なんと飛べるようになっていた。


 慶太が空を飛んでいると、なにやら騒がしく、下を見ると何やら人だかりができている。

「何をしてるんだ?」空から着地してそう言った。

「うお、なんだこいつ?」そう言う男は銃を構えている。

「銃刀法ってものを知らないのか?銃を持つのはいけないんだぞ。」

「うるせえ!」そう言って男は発砲した。だが慶太の体は鋼でできているので効かない。そして慶太は刀を構えて、一瞬で男を切り落とした。

「やっぱ。日本といえば刀だよな。」慶太は独り言を言った。

「て、てめえ。調子に乗りやがって!みんなやっちまうぞ!」男の残りがまだ3人残っていた。だが超人となった慶太の敵ではなかった。

「九条流:白虎衝撃波」

 慶太は敵に「突き」をした。するとその突きの勢いで空気が押し出され、空気砲となり空気の弾が敵全員に命中した。残りの3人も一瞬で撃破した。

うおおおおお!周りから拍手と歓声が舞い上がる。慶太は何も言わずまた空に飛び立った。

(やっぱ必殺技言った方が映えるよな~。これで俺もヒーローか?)慶太は1人でニヤついた。そうしてこのまま帰路に立った。


 次の日、会社に出勤すると美鈴に呼び出された。美鈴はテレビをつけて声を荒げる。

「社長、これ何ですか!?」テレビには昨日の俺が映っていた。

「さっそく話題になったか。」

「話題になったかじゃないですよ。こんな騒ぎになっちゃってどうするつもりですか?」

「別に問題ないだろ。俺が九条コーポレーションの社長だってのももう特定されてるし。今頃会社の株価が爆上がりしてると思うぜ。」

 コンコンコン。美鈴とそんな口論をしていると、誰かがドアをノックした。「はい。」俺が声をかけると入って来たのは、副社長のポールだった。ポールは会社を設立する費用を立て替えてくれた俺の恩人である。

「テレビを見たぞ。あれは本当に君か?」

「ああ、すごいだろ。人間の機械化に成功だ!」

「じゃあ、例の兵士の機械化プロジェクトを米軍に発表するんだな?」

「いや、公表はしないでいようと思う。」

「な!?なぜだ?これほど稼げる種はないぞ!」ポールが驚いた。

「軍に技術を売ったら絶対悪用するだろ?俺が独占してた方が平和だと思う。」

 その後もこのことについてポールと口論が続いたが、俺が一切引かないのでポールは怒りながら部屋を出て言った。

「まったく、あの男は金のことしか考えてない。いやなやつです。」美鈴が珍しく悪態をつく。

「美鈴って昔からポールのこと嫌いだよな。」2人でクスクス笑い合った。


 その後も俺はヒーロー活動を行った。俺が超人になってから1週間が経った頃、突然ポールが社長室に入って来た。

「ノックもなしにどうした?」俺が尋ねる。

「今日からは私の部屋だ。今株主総会を行ってな。君の解雇が株主の全会一致で決まった。」そう言ってポールは俺に株主総会議事録を見せてきた。

「な!?そんなわけない!」美鈴が叫ぶ。

「秘書ごときが私に口出しをしないでくれたまえ。」ポールが冷たく言う。

 俺と美鈴は出ていくことを余儀なくされた。俺たちはいったん、俺の家に行くことにした。だが俺の家には、会社所有の機械がいくつかある。それらすべてすでに差押えがされていた。

「こんなとこでは落ち着きません。私の家に来ませんか?」俺は美鈴の言葉に甘えた。

 美鈴の家には始めて来る。豪華な家具などはないが、とてもきれいな家だ。

「少々汚いですが、おくつろぎください。」美鈴が丁寧に言う。

「もう俺は社長じゃないんだ。そんな言葉遣い止めてく。」

「いいえ。社長はいつまでも私の社長です。すくなくともあのバカよりは。」

 すると美鈴の家の電話が鳴り響いた。


 一方九条コーポレーションでは、ポールとその仲間による大捜索が行われていた。

「慶太の機械化の仕組みを探せ!」その号令とともに会社の全施設・全資料が洗われた。ポールは開発局に直接足を運んでいた。

「君が局長の風花君か。君なら知っているだろ?慶太の機械化の仕組みを?」

「知っていたら何?公表するなとの社長命令です。」

「今では私が社長だ。私にも教えたまえ。」

「いやよ!」「なら君はクビだ。」ポールが風花の肩をつかむと、風花の懐からコンバインマシーンが飛び出てきた。

「ん?何だこれは?」彼も工学の知識は十分にある。機械を見てある程度どんな機械か判別できた。ポールはニヤリと笑った。


「ポール!お前、何やってるんだ!」慶太が開発局に蹴破って突入した。

「なぜ君がここに?」ポールが目を見開く。

「風花から電話がかかって来たんだ。風花はどこだ?」慶太があたりを見渡すと、奥の部屋の扉が半開きになっているのに気付いた。そこまで高速に移動すると、部屋の中には風花が監禁されていた。

「これは違法だろ!」慶太が怒りの声をあげる。

「今更それがどうした!半年前、お前を攫ったのは俺の指示だ!」ポールが叫ぶ。慶太はそれが研究員の研究の時間稼ぎだと気づいていた。

 させるか!俺は研究員にタックルをして気絶させた。

「くそ!この無能が!慶太はその装置を完成させたんだぞ!」俺はポールに一瞬で近づき、首に刀を突きつけた。もはや人間が対応できるスピードではない。

「もはや、ここまでか。これで失敗しても悔いはない!」ポールはそう言ってコンバインマシーンを起動させた。ポールの体が発光した。俺は攻撃をしようとしたが、ポールの体からの謎の衝撃波で吹き飛んだ。

「ふふふ。成功だ!これが超人の世界か!」ポールも機械と融合した。慶太は刀を構える。超人同士の戦いが今始まる。

 まず動いたのはポールだ。慶太にとびかかりパンチを繰り出した。慶太はそれを避けるが、パンチの跡を見て仰天する。ポールのパンチが当たった床は穴が空いていた。加えて下の階、そしてさらにその下の階まで衝撃が飛んでいき、3階分穴が続いていた。これは当たったらタダではすまない。

 次に慶太が切りかかる。だが同じく鋼の体を持つ相手には刀が通らない。もともとポールとは体格差があるので、ポールの方が若干有利である。だがポールは脳は人間のままだった。慶太の勝機はそこにある。慶太はそれを見逃さなかった。

 ポールはまだ機械と融合してからまだ時間が経っていない。体が機械と馴染めず生身の部分がある。慶太の超人的な動体視力とそれを可能にした超人的な脳が、一瞬でそれを見抜いた。ポールの胸、心臓部分が弱点である。慶太はポールに突っ込む。

「一直線に突っ込んでくるとは馬鹿め!」ポールのパンチが慶太の頬に直撃する。ここで倒れたらもう二度と弱点を狙えないかもしれない。慶太は歯を食いしばって、なんとか耐えた。そして慶太の一突きがポールの胸に直撃する。

「九条流:白虎衝撃波」

「ぐおおおおお!!!」ポールが悲鳴とともに後方に吹き飛ぶ。ポールは意識を失った。


 既に警察には通報していたのでポールの身柄は拘束された。ひとまず風花への監禁罪で現行犯逮捕された。一方その頃、美鈴が株主総会の秘密を暴いていた。前回の株主総会は株主にポールが強迫をしており、不当に決議されたものだった。それにより前回の株主総会決議は無効となり、俺は社長の座に返り咲いた。さらに1話での俺の拉致疑惑もかけられている。今後も余罪がゴロゴロ出てくるだろう。

 話題の九条コーポレーションの副社長が逮捕されたことにより、俺は記者会見を余儀なくされた。

だが記者たちは、逮捕されたポールのことよりも俺のことの方が気になるらしい。そんな中1人の記者が俺に質問した。

「九条社長。あなたは現在ヒーロー活動をしているようですが、何かヒーロー名などはございますか?」

 その質問に対し、俺は真摯に答えた。

「ヒーロー名か。そうだな…。みんなを救う者、『セーバー』なんでどうだ?」

ーTo be continued ー

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