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株主優待のリスク

日本の株式市場では世界的に珍しい株主優待制度がある。企業が自社製品のアピールを兼ね自社製品の詰め合わせを送ったりする。

電鉄会社であれば無料乗車券を、外食業であれば自社店舗での割引券や無料券を株主に配布したりするのだ。自社製品だけでなく金券やカタログギフトを送る会社もあるようだ。

元プロ棋士の桐谷氏が優待だけで生活していることで話題となりよく知られるようになった。

配当金と違い、ちょっとしたプレゼントのような感じで個人投資家に人気があり、優待目当てで株を購入する個人投資家は少なくない。

個人投資家の間口を広げるという意味では企業側にもメリットがあるのだろう。

しかし、これを逆手にとる存在があるので注意が必要だ。

そして今後そのような事例が増えるかもしれないので記事に残しておこうと思う。投資界隈では比較的知られている話なので覚えておくとよい。

すかいらーくという外食企業がある。ファミリーレストラン(以下ファミレス)の大手で「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」といったブランドを展開している。

君が小学生くらいまではよくお世話になったので記憶にあるだろう。今では一般的になったファミレスでのドリンクバーも同社が初めて導入したのではないかと記憶している。

このすかいらーく系の店舗は数が多く、郊外のロードサイドではよく見かける。

同社は自社の飲食に使える株主優待券で日本マクドナルドと並んで個人投資家に人気がある。こういった優待は使える店舗が多いほど使い勝手が良いからだ。

このすかいらーくが一時外資系ファンドに買収されていた時期がある。このファンドに買収されてしばらく後の2017年に同社の株主優待は突然3倍になった。

もちろん個人投資家は喜んだし、それにつられて株主になった人もいたようだ。しかし僅か3年後の2020年に今度は優待を30%~50%減額したのだ。

この間同社の株は30%以上値上がりし、ファンドはその間に株価を売り抜けている。

このファンドが高値で売り抜けるために株主優待で個人投資家を釣ったかどうかは分からない。

ただ事実として株主優待を減額した直後に株価は40%も暴落している。当時の株価水準に戻ったのは株高に沸く最近の話だ。

株主優待増額と減額タイミング

もっとも当時から大幅な株主優待について疑念を持って注意喚起する記事やブログはあった。

しかしそういった情報に目を通さずに目先の優待に釣られた個人投資家はファンドに利益を献上た格好だ(同社はすかいらーくで数千億円の利益を手にしたとも言われている

もし君が株主優待を目当てに投資することがあればこういったことを頭において投資する企業の資本関係や業績などは最低限理解しておく必要がある。

もっともこれは株主優待に限らず、やけに配当が高配当だったりする場合にも当てはまる。

株主優待という分かりやすい目先の利益ばかりに気を取られ、投資の基本的な知識がないまま投資するのは愚かな行為なので気をつけたい。

にわか投資家の中には業績などの基本的なことも目を通さずに投資してしまうカモがいるが、それは投資詐欺に引っ掛かるのと変わりがない。

ちなみに6月11日の日本経済新聞社の記事よると、件のファンドは今後5年で5兆円を日本に投資するらしい。これは過去5年の2倍だそうで、理由は米欧より高いリターンが見込める市場だからとのことだ。

すかいらーくで愚かな個人投資家がいることが分かったので、同じようなことが起こる可能性がある。

日本で5兆円分誰かがババをつかむ可能性があるというワケだ。

5年後と言えば君もその間に成人するからやろうと思えば投資ができる。きちんと勉強せずに目先の利益に釣られて投資すると、外資系ファンドの養分にされるかもしれないから注意が必要だぞ。

こういった外資系ファンドは以前はハゲタカとか言われていた。ポンコツリターンでインデックス下げ発言を繰り返す国産アクティブファンドが可愛くみえてくる。

※掲載する情報は投資勧誘を目的としたものではありません。株式などの金融商品や不動産の取引は損失を出す恐れがあります。

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