写真に映る感情 -『小暮写眞館』を読んで-
こんにちは。こんばんは。
なつめぐです。
私が最近読んだ本を紹介しようと思います。
宮部みゆき『小暮写眞館』
最近この作品を読んだんです。1巻と2巻を続けて。
あと、実は私、作家で「宮部みゆき」という名前は知っていたのですが、読むのは初めてだったんです。
きっかけとしては、母が読もうとして買ったけど、結局読む時間なく積んであったものを勝手に拝借したんですよね。笑
最近、ミステリーとかサスペンスとかの作品にハマってまして。笑
まぁそんなわけで、読んでみて簡単にまとめるならとても面白かった。気に入った。早く続きを買って読みたい。そんな感じですかね。笑
※ここからは、ネタバレを含みます。
あらすじ
今回は1、2巻同時にということで、ざっくりとこんな感じの作品っていうのがわかるように説明していきますね。
この作品は、花菱英一という男子高校生が主人公のお話です。
はじまりは彼の一家が一軒家への引越しです。この引っ越してきた家が元小暮写眞館という写真屋さんで、その同時に撮られた写真が依頼として舞い込んでくる写真となります。
1巻では、引っ越してきたばかりに家(写眞館)の前で1人の少女にフリマでノートを買ったらここで撮られた奇妙な写真が挟まっていたからどうにかしろと押し付けられます。その写真には、食卓を囲む6人と背景付近に女性の顔だけが写り込んでおり、ただの心霊写真として捨てることが出来なかった英一は親友のテンコ(店子力)に協力してもらいながらも写真の真相の調査を始めます。最終的にその写真の女性は写真の人物の元妻であったことがわかり、その女性の感情、想いが取り残されたように写っていたという展開で幕を閉じます。
2巻では、1巻で写真の謎を解いたことが尾ひれはひれがついてSNS上で広がったことが原因となり、バレー部の先輩に呼び出されます。そこで、写真の謎を解いてくれと頼まれ(言い渡され)真相の調査を始めます。今回は親友のテンコともう1人同級生のコゲパン(寺内千春)の協力を得て調べていきます。写真には、呼び出した田部先輩ともう1人女性(田部先輩の先輩・河合)が仲良く写っており、その背景の縁側に河合とその家族が泣きながら座っている様子が写し出されていました。最終的には、この写真は撮影者の想像や願いが写り込んだものであるという結末になります。
感想
私はこの作品を読んで、人と人の関係や感情、そんな色々な人間関係が見える作品だなと感じました。1巻2巻どちらも手がかりは1枚の写真であるのに、こんなにも様々な人の想いや記憶が存在しているんだってことにすごく惹かれたんですよね。
あとは、登場人物も曲者ぞろいって感じがして結構好きなんですよ。主人公の英一はまともに見えてもやっぱどっかズレていたり、親友のテンコはお金持ちの子息だし、不動産の受付のミス垣本は初対面から毒付いてるし。。。
そんな色々な個性を持ったキャラクターがいる作品ってわくわくするんですよね。見ているだけでもとても楽しい。
今のところ、個人的に1番好きなのは、ミス垣本でしょうか。
正直、リアルで近くにいたら絶対好きにはなっていないタイプの人間ではあるんです。
人付き合いが苦手で、隙あらば“死”に向かおうとする。それに、人間関係はだいぶ拗らせている。そんな女性。
なかなかこのキャラクターを好きになる人は少ないのかもしれないですね。
でも、なんでか嫌いにはなれないキャラクターなんですよね。
私も読みながら、人に迷惑かけることを当たり前と思ってんじゃないのか?とか思ったりもしたんですけど、なぜか最後まで読む頃には別に嫌いじゃなくなってる。
なんなら、どうやったらこの人が自分自身を1人の人間として大事にできるのかとか、何があったらそこまで捻くれてしまうのかとか、考えてしまう。
1巻も2巻も、写真の真相は見つけても、周囲にいる人物の人柄を注視してみることはめったにない。だからこそ、そんな脇役でも主人公でもない絶妙な立ち位置の人間に興味を惹かれるのかもしれないな、なんて思います。
あとは、ストーリーとして、シンプルにどんな真相が待っているかのドキドキ感とかワクワク感は次へと読み進めたくなる要因のひとつなんですよね。
最初から、心霊写真として処理してしまえば、ただの意味のない紙クズのようなものでも、それを拾い上げて謎を解いていく。
その上で、人の心の中に持つ絡まった感情も解いていくそんなところもいいなって思ったところのひとつですね。
ミステリー好きの方はもう読んだことがあるのかもしれないですが、是非ミステリーなどの真相追求する作品が好きな方に読んでほしいですね。
それでは、またいつか。
書誌情報
著者名:宮部みゆき
タイトル:小暮写眞館Ⅰ,Ⅱ
出版社:新潮社
出版年:Ⅰ, 2017年
Ⅱ, 2017年
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