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【サウナで学ぶ】熱処理学の基本の「き」

熱処理とはまさに「サウナ」

熱処理とは、
日本金属処理工業会で「赤めて冷ますこと」と記載されており、金属材料に加熱と冷却を加えて形を変えることなく性質を向上させる加工技術を指します。

ってこれ、「体を赤めて水風呂で冷ます」サウナも立派な熱処理ですよね!?

ていうか、
サウナは人間の「心身をととのえる」ものに対し、
熱処理は金属の「組成をととのえる」ってこれもう同義ですよ!


今回の記事では、
熱処理によって金属材料がどのように「ととのう」のか迫っていきたいと思います。



鋼材に用いられる熱処理

基本は、「焼入れ」「焼もどし」「焼なまし」「焼ならし」の4パターンです。

いずれも鋼材を構成する微細な組織を加熱・冷却により調整し、目的の性質(硬さ・強さ・軟らかさなど)を得る方法です。


これが見てると面白い。
鋼材が「サウナ」⇒「水風呂」⇒「外気欲」を繰り返し、ととのっているように見えてくるのです。
#とても気持ちよさそう


それぞれの効果について、順番に見ていきましょう。

焼き入れ【水風呂にダイブ】

焼き入れとは、チンチンに熱した鋼材を水中に「ジョワワワワワワヮヮー!!」と突っ込むこと。

つまり、サウナでチンチンに熱くなった体で水風呂にダイブすることと同義です。


焼き入れには「鋼を硬くする」効果があります。
水風呂で血管をキュッと引き締めるのと同じですね!

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鋼を変態点(組織の構造が変化するポイント)以上の温度まで上昇させ、一定時間置いた後、急激に冷却することを「焼入れ」と呼びます。英語ではハードニング(Hardening:硬くする)やクエンチング(Quenching:急冷する)、もしくはクエンチ・ハードニング(Quench Hardening:急冷して硬くする)などと呼ばれます。JISの加工記号では「HQ」と記載されます。
KEYENCE HP


焼き入れは「水風呂にダイブ」と覚えましょう。

焼き戻し【サウナにまた入室】

焼き戻しとは、焼き入れした鋼材を再加熱すること。

つまり、水風呂で体をキンキンに冷やした後、またサウナに戻ることと同義です。



焼き戻しには「鋼を強靭にする」効果があります。
サウナに戻るとまた血流が増大しアドレナリンが体中に運ばれ狂人になるのと同じですね!(?)

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焼入れによって鋼の組織はマルテンサイト化して硬くなりますが、そのままではもろく、割れなどが生じやすい状態です。「焼もどし」とはそこからさらに再加熱して硬さを調整しながら、粘りや強靭性を高める作業です。英語ではテンパリングと呼ばれ、JISの加工記号では「HT」と記載されます。

基本的に焼入れと焼もどしはワンセットで行い、硬くて丈夫な製品づくりに生かします。もし、焼入れだけで作られた工具や部品があったとすると、すぐに破損したりキズが付いたりして使い物にならないでしょう。
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焼き戻しは「サウナにまた戻る」と覚えましょう。

焼きなまし【サウナから外気浴へ直行】

焼きなましとは、材料を適当な温度に加熱してしばらく温度保持したのち徐々に冷やしていくこと。

つまり、サウナで体を温めた後、水風呂を経由せずに外気浴に直行することですね。

焼きなましには、鋼を柔らかくして加工しやすくする効果があります。
サウナで頭が柔らかくなり、思考しやすくなるのと同じですね!

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工具や機械部品を製作するには切削が容易な鋼が理想的です。そのためには鋼を軟らかくする処理が欠かせ
ません。それが「焼なまし(焼鈍:しょうどん)」と呼ばれる熱処理です。英語ではアニーリングと呼ばれ、JISの
加工記号では「HA」と記載されます。
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焼きなましは「サウナから外気浴へ直行」と覚えましょう。

焼きならし【極上のととのいに向けて体を慣らすこと】

焼きならしとは鋼を所定の高温まで加熱した後、一般には空冷で冷却してすること。

つまり、3セット目のサウナで「ガチととのい」するためにまず体を慣らすことですね。


焼きならしには「鋼の組織を均一にする」効果があり、その金属成分にとって標準的な組織を得ることができます。いったん組織をリセットするような感じです。

サウナで心をリセットする、つまり「ととのう」のと同じですね!

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鉄鋼製部品の材料となる鋼材は、鋳造・鍛造・圧延という方法で作られますが、いずれの製造法でもそのまま
では加工によって生じたひずみにより鋼の組織が不均一となっているため、強度をはじめとする機械的性質
が十分ではありません。そこで、鋼の組織を均一化、微細化する手法が「焼ならし(焼準:しょうじゅん)」です。
英語ではノーマライジングと呼ばれ、JISの加工記号では「HNR」と記載されます。
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焼きならしは「まずは体を慣らすこと」と覚えましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか
鋼材が熱処理によって「ととのう」様子を学びました。

熱処理とはまさに鋼材にとっての「サウナ」ですね!



最後までご覧いただきありがとうございました。
それでは、またどこかのサウナでお会いしましょう!!

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