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閑話休題(別学・共学論争)

 私自身は私立の共学高校出身です。
 高校教員としては、公立の男子校・共学校・共学になった男子校を経験しました。女子高はないです。ただ、新設の共学校の場合、女子の比率が多いため「女子クラス」を意図的に作ることがあります。また理系の医療希望者を集めると女子だけのクラスになったりします。その担任をしたことはあります。

 私はどっちでもと思います。
 ただ、東京の私立で育った人間が、地方都市の別学校に赴任して気づくことがあります。
 地方都市の別学校は「地域のトップ進学校」です。
 東大や医学部などの難関大学・難関学部に進む率は「男子校」の方が高いんですね。これは男子が賢いとか、女子が…ではないと思います。女子にかかるバイアスの存在だと思います。東大に行く力があっても自宅から通える国立でよいとか、医学部に行く力があっても数学が得意な文系少女で終わるとか…。
 別学の高校がある地域は、保守的な価値観が残っているというのが個人の感想です。
 ただ、別学の高校の方が、男子の文学部、女子の理工学部が共学校より多いという事実もあります。大学で何を学ぶかという選択においては別学の方がバイアスがかかりにくいようです。

 生まれてくる子供の数が70万人台になっています。
 15年後の高校生は70万人台ということですね。
 その時、公立の別学は物理的に存続できるのでしょうか。
 地方都市では、すでにこのようになっています。
・かつて男子校・女子高だったトップ進学校は、一つに統合されている。
・それぞれ共学になっている。その際、昭和50年代に新設された共学の進学校がどちらかの高校に統合されている。
・元男子校の方が人気・偏差値・進学率が高い。
・元女子高は、中高一貫、探究学習の推進、スーパーサイエンススクール事業などの参加で特色を出そうとする。

 思うのは、別学の高校がある=保守的な価値観が強めということ。
 したがって、強力な反対運動がおきる確率が高い。ただ、それは教育的な効果ではなく、ノスタルジックな感情だったり、伝統主義的な発想であることが多い。
 個人的には、人口減少とともに公立の別学の存続は物理的に難しくなると考えています。その時まで別学でいいんじゃないですか。ただ、人口減少は現在進行形ですから「共学化も含めた対応」は必要です。その検討の過程で、共学にした方が効果・メリットがあるならば、すぐに共学にと思います。その際、根回しはすでに卒業した方々にと思いますが、どうするかは中学生にも考える機会を与えた方がと思います。
 それこそ、人口減少時代における中等教育の在り方という探究学習のテーマにしては…と思う今日この頃です。 

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