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|Du Vert au Violet|ポプリ専門店

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|Ground floor|ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレは、書物を紐解くように香りと対話する「プライヴェート・ポプリ」と、ポプリまわりのアイテムを制作販売するブランドです。室内香… もっと読む
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Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリ

 Du Vert au Violetが提案する「プライヴェート・ポプリ」について、その特徴から制作方法、楽しみ方まで、詳しく解説致します。  日々の暮らしの中で、香りを起点に、文学やアートなど多彩な世界に関心が広がっていくよう工夫されたプライヴェート・ポプリの世界をどうぞお楽しみください。 *  一般的なポプリは、空間に香りを漂わせ、BGMのように香りを楽しむ「室内香」、もしくはサシェなどに詰められ、引き出しなど区切られた狭い場所に香りを漂わせるアイテムです。  それに対

ruff & Du Vert au Violet|真夜中の舞踏会

 モーヴ街でひらかれた舞踏会からの帰路、ポプリ店に併設された小さな図書室へ——  月明かり差し込む薄暗い室内に入ると、どこからともなく漂ってくる菫色の香気。香りを辿っていくと、キャビネットに飾られた一冊の書物に、ムエットのように挟み込まれた真夜中の舞踏会への招待状が。    オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』。  サロメの舞う「七つのヴェイルの踊り|Dance of the Seven Veils」からはじまる真夜中の舞踏会へ、ご案内致しましょう。  イラストレーターruf

Du Vert au Violet|移ろう薔薇時間

 聖夜待つモーヴ街に夜の帳が降りる頃——  頰を過ぎる冷たい空気の襞を揺らすように、どこからともなく、薔薇の香りが漂ってきました。  高柳カヨ子先生プロデュース展《少女の聖域vol.3〜魔法大全(2022年9月)》にて発表した「少女薔薇十字団のプライヴェート・ポプリ」。  本イベントにて、新たに小壜シリーズをお披露目致します。  ブラック壜のシックな装飾は、少女薔薇十字団のひそやかな存在性へのオード。薔薇色の細リボンがステッチのように渡る漆黒グログランリボンに薔薇色シル

合田ノブヨ & Du Vert au Violet|コラージュとポプリのセット《半喪のパ・ド・ドゥ》

TextDu Vert au Violet  モーヴグレイの霧に覆われた、ローデンバック『死都ブリュージュ』を逍遥する本作——孤高のコラージュ作家・合田ノブヨ様とDu Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)の初コラボレーションとなる「コラージュとポプリのセット」を発表致します。  初回【限定数販売】、再販は未定です。  上田敏『海潮音』収録「黄昏」で出会い、北原白秋『桐の花』で再会したベルギーの詩人ローデンバック(1855〜1898)。三島由紀夫『禁

スウィンギング・ロンドン|Du Vert au Violet|モーヴ色が仄香る夕暮れのStreet

 長澤 均氏ご著作『BIBA Swingin’ London 1965-1974』を紐解くと香り立つ、当時の息吹。わけてもバーバラ・フラニッキが創業したBIBAのロマンティックな世界観と一連のノスタルジックな写真に魅せられ、儚く過ぎ去った神話の美しい残像を、香りで表現してみたいと思いました。  1973年、ケンジントン・ハイ・ストリートにBIBAが移転し「Big BIBA」をオープン。ポプリ名「Kensington High Street 1973」の由来はここから。  

少女の聖域vol.3|Du Vert au Violet|誇り高き花園

 世に在る全ての少女たちが安心して少女たり得るように、少女薔薇十字団は暗躍する。  少女に降りかかる押し付けがましい理想や冷笑的なもてはやしを薙ぎ払い、少女の概念をもっと自由闊達に取り戻すべく、いばらの道を切り開く。  彼女たちの象徴である薔薇は、薔薇であって薔薇ではない。  薔薇は「そうび」とも読む。そう、それは少女が戦うための装備なのだ。  Du Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)が提唱する、プライヴェート・ポプリ。  これまでポプリといえば、

くるはらきみ個展《ヒルデガルト点描》|ヒルデガルト—祈りの薬草園《2》

 「私たちそれぞれが歩む創作の道のひとつがヒルデガルトへつながっている」——日々祈り、植物を愛しんだヒルデガルトの軌跡を辿りながら、これまで探求してきた道の歩みを、さらに前へと進めて。  本展にて発表するくるはらきみ & Du Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)のコラボ・ポプリセット2種のうち、先に1種を公開しました。以下のリンク先よりご高覧下さい。  本記事では、もう1種にあたる「ヒルデガルトの薬草園カード」が封入されたヴァージョンをご紹介しま

くるはらきみ個展《ヒルデガルト点描》|ヒルデガルト—祈りの薬草園《1》

 湿気を含んだ土の香りが舞い上がり、草花と混じり合う夏の小径。しばらく歩いてゆくと、雲間から覗く光に照らされた門が、威厳をたたえながらも、温かい面持ちで迎えてくれる。  ヒルデガルトが修道院へと向かった小径、あるいは、ユッタとちいさな庵で暮らしながら日々歩いた小径には、どんな草花が咲き、樹木の葉が揺れ、風が香りを運んできたのだろうか——  遠き異国、遥けき中世に生きたヒルデガルトへ、繋がる糸を手繰り寄せながら編んだ祈りの薬草園の風景を、小箱に託して。  くるはらきみ様と霧

お店|絵本とポプリのセット『マダム・ロマラン』

TextDu Vert au Violet  生きることへの讃歌をエスプリあふれる物語とイラストで綴り、私たちを魅了し続けるイラストレーターのフランスガム様。  新たに生み出した魅惑の女性「マダム・ロマラン」がここモーヴ街10番地に素敵なお店をオープンしました。  巡る季節の中でローズマリーを育てたご経験から、その力強く健気な姿を店主に重ね生まれた「マダム・ロマラン」(ロマランはローズマリーの仏語訳)。  「青春をだいぶ過ぎた頃、人生のひとつの段階を終えた頃の女性」であ

ruff個展《菫色少年秘密倶楽部》|ruff & Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリ〜THE STAR

 春の陽射しがやさしく箱庭の植物に降り注ぎ、色彩に透明感を与える朝。身支度に忙しい少年たちが水やりを終えて、迎える眩い午後。ティタイムの後、立ち寄った温室のベンチで午睡から目覚めた少年たちは、太陽が沈む刻限のセンチメントに身をゆだねながら、占術に興じる夜を迎えて——  このほど、ruffさまとDu Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)のコラボレーションで、タロットをテーマにした「プライヴェート・ポプリセット」を発表致します。  コラボにあたりruf

ruff個展《菫色少年秘密倶楽部》|ruff & Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリ〜THE MOON

 ゼニアオイの箱庭へ続く門を飾るクレマチス・アーマンディが花びらを落としはじめ、季節をつなぐように開花したのは花水木。夜に浮かぶ月に似た花びらの色を空に向けて、煌々と放っています。  本展にて同時発表するruff & Du Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)のコラボ・ポプリセット3種(SATR/MOON/SUN)のうち、DAY 2では「STAR」を公開しました。  本日ご紹介するのは「MOON」のセットです。  MBSCの少年たちの植物への関心に

ruff個展《菫色少年秘密倶楽部》|ruff & Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリ〜THE SUN

 花の香りで満たされた穏やかな温室のひととき。まどろむ少年たちの姿が香りが消えゆくように少しずつ薄くなってきました。  菫色の少年たちと別れの刻、秘密倶楽部が存在した確かな証として遺されたタロットの意味は「再会」——  本展にて同時発表するruff & Du Vert au Violet(ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ)のコラボ・ポプリセット3種(SATR/MOON/SUN)のうち、「STAR」と「MOON」を公開中です。  最後にご紹介するのは「SUN」のセット。  ボッ

スクリプトリウムvol.3|Du Vert au Violet|ポプリブランド設立に寄せて

Text霧とリボン  このほど、霧とリボンのポプリブランドをローンチします。  ブランド名《ドゥ・ヴェール・オ・ヴィオレ|緑色から菫色へ》は、ベル・エポックの巴里に生きた詩人ルネ・ヴィヴィアンの同名散文詩集から。霧とリボンの基調色が菫色とアブサン色(緑色)の二色であることと、スミレ属やアブサン酒(ニガヨモギ)を作品モチーフや企画展テーマの中心に据えてきたことを重ねて、ブランド名としました。  室内香ではない、書物を紐解くように香りと対話するポプリを「プライヴェート・ポプ

スクリプトリウムvol.3|維月 楓 & 永井健一 & Du Vert au Violet《1》|プライヴェート・ポプリ〜小壜シリーズ

Text|霧とリボン  ブランド設立を記念して調香したポプリは、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』冒頭より、少年オーランドーが自然の中で詩作する3つの光景が題材です。  「Nature and Letters|自然と文学」「Sixteen|16歳」「A Summer’s Evening|夏の夕暮れ」と題した3つのポプリを、「小壜シリーズ」と「アンソロジー・シリーズ」2つのパッケージで展開します。  本日は小壜シリーズのご紹介です。  永井健一さまのドローイングを