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ケイパー(襲撃)小説を裁く(考察する)のはオレだ

 

誰が主役か


 ○犯罪者側
 スタークの『悪党パーカー』シリーズが有名。これはリアルな犯罪小説で、アメリカの監獄(図書館)でパーカーシリーズが一番人気だったという逸話がある。プロの犯罪者に支持されるほど面白くリアルだったというわけだ。
 他にも素人が銀行強盗を計画するような小説もある。見所は素人がどうやって犯行を計画し達成するかだ。こちらは例が少ないから、意外と面白いかも。JCのグループがドンキみたいな施設を襲撃するとかいう設定はどうだろうか。
 ○捜査側
 事件が起きてから強盗犯を捜査する場合と、襲撃事件が起きることを突き止め、それを阻止するパターンがある。
 どちらの場合も、犯人側の内輪もめが事件の鍵になることが多い。事件後の捜査は普通の殺人事件などと同じになってしまうことがある。だから、襲撃がいつ、どこで、誰が起こすのか、それを捜査しながら事件を阻止するというほうが面白いのではないか。犯人との頭脳戦も演出出来る。

 

どこを襲撃するのか


 銀行・遊園地・宝石店・カジノ・イベント会場など、大金がある場所。動機はもちろん金である。逆に金銭目当てと思わせて、別の動機という場合もあるだろう。
 病院・学校・警察署など多数の人間が集まる場所。動機は様々だが、一見金目当てとは違うように見えても、最終目的は金銭目当てのこともある。
 このあたりを一工夫すれば、面白い設定ができそうだ。

 仲間・手口
 強奪チームのメンバーと言えば、海外ドラマでは元軍人が多い。兵器の取り扱いに長けているし、指揮系統を守ることも出来る。日本なら元自衛隊とか武闘派ヤクザだろうか。最近では闇バイトで募集した人間とかがありそうだが、どんな人間かも分からない素人犯罪者を集めるのは危険であり、今では安易過ぎる設定となる。小説にするのなら、プロの犯罪者あるいは特殊な技術を持った人間を仲間にしたほうがいいだろう。計画を立てて、仲間を集める過程もケイパー小説の楽しみでもある。
 手口はもちろんリアルな方がいいが、あまりやり過ぎると「三億円事件」や「グリコ森永事件」でミステリー作家が容疑をかけられたという例もあるから、要注意だ。
 昭和・平成の小説で描かれた襲撃方法は、今となっては古くなって、使い物にならないだろう。裏を返せば、現代に合った襲撃方法を考えれば、新しいケイパー小説が書けるかもしれない。新しめの海外ドラマを鑑賞して、アイデアを考えよう。

 

結末


 ケイパー小説に限らず、犯罪小説には困った問題がある。それはラストをどうするか。悪党パーカーシリーズのように悪人側がうまくやって終わるか、それとも悪人に正義の裁きが下されるのか。
 中間として「試合に勝って勝負に負けた」的な、獲物を得ることは成功したのだが、偽物だったとか、使えない紙幣だったとか、高価なものと思ったが、価値のないものだった。などという結末もある。犯行が成功するのを楽しみながらも、犯罪は割に合わないと読者に思わせ倫理的な問題から目を逸らせるわけだ。
 捜査側としては、犯罪を阻止して警察側の完全勝利というパターンもあれば、捕まったのは小物ばかりで、本当の悪党に逃げられてしまう(この場合は頭脳派の犯人でないとシラける)というものもある。

 

まとめ


 最近ケイパー小説が出ないなと思いついたのが考察の始まり。ネットの普及や、いたるところに存在する防犯カメラなどと様変わりしたことに、ついていけないのかもしれないと考えた。それと、凄腕ハッカーならネットバンクにハッキングして、いとも簡単に口座を空にできる(そんなドラマはいくらでもある)時代に武器を片手に銀行強盗というのはリスクが高そうだ。
 だが、時代に合わせた襲撃方法や、襲撃場所、ケイパー小説と思わせて、実は……という合わせ技も考えられる。
 ケイパー小説、意外と穴場かもしれない。

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