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簡単、アリバイトリック1

 アリバイトリックは様々なものが考案されているが、簡単に出来そうなものから考えてみよう。

死亡推定時刻を錯誤させる。

 死体が発見されて、他殺を疑われた場合、真っ先に確認されるのが、死亡推定時刻である。ここで重要なのはどうやって推定時刻を確定させたのかということ。

○法医学


 死亡時刻を推定する方法にはいろいろある。具体的な例については専門書や入門書を参考にして欲しい。
●直腸内温度から推定する。
●死後硬直の程度
●角膜混濁の程度
●死斑の動き
 等により判断される。
 つまり、アリバイトリックを作るなら、それらを逆用して死亡時刻を錯誤させればいい。
 例 死体を温める(電気毛布・ストーブなど)、冷やす(寒い戸外で殺害、それから屋内に移動する)。
 殺害時に厚着(電熱入りの服とか)をさせておき、死体発見時に裸にする。またはその逆。
※実際には死亡時刻を一つの条件ではなく、複合的に判断するので、そこに留意すること。法医学が発達していなかった昭和時代や地方都市を舞台にするといいかもしれない。
●胃内容・消化度
 食事の消
化度によって、死亡時刻を推定する。未消化の場合は食物摂取後一時間ほどらしい。朝七時に食事を摂っていて、胃の内容物が未消化だとすれば、朝八時頃に殺害されたことになる。
 例 被害者にピザを食べさせた二時間後に殺害して、それから同じピザをデリバリーで注文すれば、注文後から二時間経った頃、死亡したと推定されるので、その時刻のアリバイを作っておけばいい。当然ではあるが、被害者がデリバリーピザを受け取ったという偽装トリックが必要とされる。

○気象


 死体発見時、地面は雪や雨の跡があるのに、死体の服には雨で濡れた跡や雪が積もってなかった。つまり雨や雪が降りやんだ後に殺害された(現場に死体を移動させた様子はない)。
 降り止む前に殺害して死体を濡れないように細工すれば、死亡時刻を錯誤できる。
 台風や雷で停電したときでも、停電時間を使って、死亡時刻を錯誤させるトリックが考えられる。
 大雨で道路が封鎖されたとか、土砂崩れがあった、などという場合も同様だ。

○日常習慣


 例えば、毎朝六時に新聞を取り込む習慣のある高齢者。殺害されたときに、新聞がポストに入りっぱなしだったとしたら、六時以前に殺害されたのではないかと判断される。これを逆用して、殺害後、取り込んであった新聞をポストに戻しておけば、殺害時刻を錯誤できる。
 朝・夕同じ時刻に散歩するなど、日常的な習慣を持つ人は多い。それを利用するトリックは不自然さがないぶん、効果的に使えるのではないか。

まとめ


 死亡時刻を判断するための根拠を逆用するという方法は、具体例が目の前にあるからトリックを考え易い。
 考え方のコツは、常日頃から人の行動や身の回りの出来事に注意を払っておくこと。ドラマや映画など、参考になるシーンがあればメモを取るとか、画面を撮影しておいて、アイデア出しに活用しよう。

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