奇妙な話ー1

もの心ついた時から「そんな感覚」があったので、変な話も寄ってくる事もしばしばあります。
そんな話をすると気持ち悪がられるのがオチなので中々話さないのですが、時々ここに書いていこうかなと思います。
今回は「蟲」の話です。

「蟲」という字は小さな虫が集合している様子を表した会意文字なんだとか。調べたらそう出てきました。
「あぁ~。なるほど。」と納得してしまったお話です。

これは、とあるお宅のお話です。そのお宅は袋小路の手前から曲がり細い道を入って行った1番奥の目立たない場所にあるそうです。なんでも、そのお宅は古くなっても売れるんだとか。
そのお宅に業者の人がリフォームの為に伺ったら家の中の色々な部屋から「カサカサ…。カサカサ…。」と聞こえたんだそうです。
「買い手が決まったので、ちょっとした修理をお願いしたいんです。」と60代の女性が家の中を案内しながら修理する箇所を教えてくれたそうです。
「修理する部分が子供部屋もあります。」と言いながら子ども部屋にも案内されたそうです。
子ども部屋が2つあって、そこには30歳ぐらいの男性がそれぞれの部屋の椅子に座っていらっしゃったそうですが、部屋に入った時、居るのがわからないほど気配がなく、内心驚きながら挨拶をしたら、まばたきもなく「こんにちは。」と返ってきたそうです。

「魂がない。って言ったりするじゃないですか?それを実感したのは初めてでしたよ。何か…変な気持ち悪さでしたよ。」

後日、スタッフ2人と一緒に修理に取り掛かると、
何か、何だか…言葉では言い表せないけど、何か変だとスタッフ共々感じながら作業をすすめたそうです。
すると、スタッフの一人が偶然にも床下をのぞいたらしいのです。
そこにはほどんどの柱に白蟻が群がっていたそうで、慌てて施主さまに
「白蟻がすごいですよ!」と報告に行くと

「駆除剤をどれだけしてもいなくならないんです。悪さはないですし、家も大丈夫ですし、不動産屋にも伝えてありますから、そのままで。」
と返答されたそうです。

別のスタッフは子供部屋の壁紙を張り替えようと取り掛かろうとすると、
何だか…わずか、わずかだけど…壁が膨らんでいる気がする…。
「カサカサ…。カサカサ…。」
と聞こえてきて、そぉーと張り替える壁紙を少しだけ剥がし壁を開けてのぞいたそうです。
「白蟻です!壁が膨らむほど白蟻です!」
そう報告にきたので3人で確認をしに部屋へいったら

「カサカサ…。カサカサ…。カサカサ…。カサカサ…。」
と部屋中にずっと響いて聞こえたそうです。

「頭がおかしくなるかと思いましたよ。その後、2回行ってどうにか全部終わらせましたよ。普通ならもう少しうまく進むんですがねぇ。なんだかうまく進まなくて。これって変だと思いませんか?」とたずねられたので

「次、そのお家を買われた方、もしかして小さなお子さんいらっしゃいません?」と、とっさに聞いてしまいました。

「そうです!そうらしいんですよ。初めて伺った時に『小さなお子さんがいらっしゃるから少し直してお渡ししたくて』って言われたんですよ!」

「蟲の餌なんでしょうね。人間が…多分ですけど。」

お帰りになられてから、これが「蠱惑」なのかなぁ。と。
蟲の音(誘惑)の中で生活させ、成長させながら養分を摂取し、餌ではなくなると新しく若い養分を誘惑して住まわせる。のかな…?なぁ~んておもったりして。
まっ。そんな場所も日本のどこかにあるのです。ご用心を。


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