最高の「メサイア」@聖マーティン教会

今日は朝からそわそわ、心が落ち着かない。そのわけは、この留学で(研究以外で)もっとも楽しみにしていた、ヘンデル「メサイア」をイギリスの教会堂で聴く、という機会を得られるからだ。「どんななんだろう」「案外、期待したほどでもなかったなんてこともあるだろうか」など、そわそわ。

指導教授Cからおススメされる前から私が聖マーティン教会に着目していたのは、この教会が音楽事業にも本格的に取り組んでいるからというのも理由のひとつだった。

それで、結果的に感想は表題のとおり。はい終わり。

そんなわけないでしょう😄
今まで聴いた中で、もっとも素晴らしい「メサイア」だったのは本当。色々と偶然が重なったことも、演奏自体の素晴らしさに加えて大きい。まず、席。ぐずぐずしているうちに、もう満席ではないかと半ば諦めつつ予約手続きに入ったところ、奇跡的に最上の席が1つだけポツンと残っていた。教会のコンサートなので、そんなに高額でもない。しかも私は学生料金でいけそうだし。どのくらい最上席かというと、演奏者から5メートルの距離の席。ソロの息遣いまで聞こえたぞ。

もう一つは、隣の席の話好きのおじさまと会話が弾んだこと。コンサートに一人で行って困るのは、その感動を共有する相手がいないということに尽きる。「クリスマスといえばメサイアだよな」「オレは子どもの頃からそうなんや」とのっけからノリノリに話しかけてくるおじさまと、他男性3人女性1人の4人グループがお隣。グループでこんな「かぶりつき」席を予約する程のお人たちだから、メサイア談義で話が盛り上がるのも奇跡というより必然かもしれません。

プログラムを販売していることを知らずにいたのですが、演奏終了後、隣のおじさまが「これあげる」っていうのでありがたく頂戴しました。

この演奏を素晴らしくしている要素のひとつは、少人数による演奏、ということ。弦楽器なんてパート各1人だから、第1、第2バイオリン、ビオラ、チェロ、コンバスの五重奏だ。まさに少数精鋭。しかもみなさま、バロック音楽、いやメサイアを知り尽くしているのがとてもよく伝わってくる。

演奏全体の程度がどこで判断できるかというのは、メサイアの場合、割合にはっきりしている。それは、最初の合唱が始まる時だ。And the glory, the glory of the Lord の最初の八小節で、「うをっ」ってのけぞったわ。

「合唱団はどこにいるのかな」と思っていたら、ソリストたちが合唱を兼ねる方式でした。各パート2人ずつ、ソプラノだけ3人。合唱がソリストの集団って上手いに決まっているじゃん。最近のスラングでいえば、合唱「レベチ」ですよ。

…てなことを、インターミッションや演奏終了後におじさまと談義していたわけです。このおじさまだけではなく、聴衆たちも皆耳が肥えていて、演奏終了後の会場はスタンディングオベーションでした。

あと、特記しておきたいのは、第3楽章のトランペット。ええ、あのThe trumpet shall soundのところです。ここは、学生などのアマチュア楽団ではもう、トランペットを吹いている人が気の毒になるくらいひどいこともある、難関。プロの演奏でも、ハラハラする音が出たり、音が出なかったり、とか、たまーに遭遇することも。ここを、こんなに心地良く、ストレスゼロで、しかもバスとのかけ合いも完璧というのを聴いたのは初めてです。トランペットの人、「え、ここ、そんなに簡単に吹けるところだったの?」と思わせるほど、いとも易々と吹いているようにみえたのでした。

最後におじさまと話した会話は、もう2度書くには疲れてしまいましたので、Xのつぶやきをこちらに貼ることで替えさせていただきます。あしからず。


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