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洗って伸ばして、難しかった白い帯。

母の帯 変わり織で鮮やかな花模様と金の箔が所々にあり、「締めたいけど汚い、でも捨てられない」1本です。

白い帯あるあるの「汚れ」が、しっかりと付いていました。

前帯、お太鼓の山、お太鼓の端、垂れ先、巻く部分の半幅におった折れ線などなど、大きい物で1センチ位。

きっとお気に入りで母の着物の中では活躍していたのが想像できました。

ここまで汚れていたらダメもとで、先ずは解いて洗ってみる。

縮むのは想定済みなので、汚れを優先して優しく押し洗いするも、取れる気配は無し。
石鹸を生地に刷り込んでつまみ洗いをしてみる。

これで取れた部分はあるものの、お太鼓の山に付いたシミはびくともせず😢こうなるとだんだん力も強くなり、生地が少し裂けてしまいました。(やりすぎ!)

破けては元も子もないので、これ以上はあきらめて乾かすことにしました。

そして、ここで、膨れ織の大変さを思い知ったのです。膨れの部分に引っ張られて、耳がうねうねと歪んでしまいました。

さらには、アイロンのかけにくさ!膨れ部分をぺっちゃんこにしない様に四苦八苦です。

幅も縮んだので、アイロン台の上にまち針を伸子代わりにして、何とか幅だしをしてみました。


この方法は、かつて行っていた和裁教室の先生から教わった方法。(残念ながら高齢の為、教室を閉めてしまいました)

ピンを打って引っ張ってアイロンで伸ばしていきます。


結構な作業量でここで心が折れ「一旦寝かせる」

そして、とうとう名古屋帯に仕立てる決心がついて、完成したのが1年前。

仕立て直しもそんなに簡単ではなかったものの、歪みは帯芯に耳を沿わせて、部分的には引っ張って調整しながら仕立てていきました。

お太鼓結びにすると目立つシミ(黄丸)も
銀座結びにすると隠れることがわかり、この帯はもっぱら銀座結びにしています。

花模様と相まって銀座結びが可愛らしい雰囲気に🥰

落ちなかったシミ、結び方によっては隠れるように。

本当に大満足の1本になりました。

洗ったので金箔もだいぶ取れてしまったけど、かえって普段に使いやすい帯になってくれました。

裏側はスッキリとした柄

手をつけてから3年がかりだったけど、汚れがひどかったからこそ、実験も兼ねて再生した1本でした。

これだから、繰り回しはやめられないのです!

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