今でもそっと思い出す（エッセイ）

皆さんは、中学生くらいの頃に職場体験みたいなものをしたことがあるだろうか？

私は中学生の時と高校生の時の2回体験をする機会があった。
中学では老人ホームへ。
高校では幼稚園へ。

そんな2回の職場体験で印象に残っているのは高校生の頃の方だ。

私が通っていた高校より一駅先にあるその幼稚園は、建物が何処か懐かしく、幼稚園の小ささに少し驚きながら、私を含めた8人が体験に訪れ、まずは園長先生と先生達にご挨拶。

そして、私達が担当する組が言われた。

私が担当する事になったのは年少さんのクラス。3〜4歳の子供さんがいるクラスだ。

友達とは離れてしまい、それに3人中2人が男の子で…不安だったのだか、人懐っこく私の元へと来てくれる子が何人か居て、すぐに担当するクラスに馴染む事が出来た。

職場体験が行われた季節は夏。

クラスで割り振られたビニールプールでの水遊びをする時間が職場体験中にあり、私達は子供達が水着に着替えるお手伝いをすることに。

一人でパッ！パッ！と着替られる子もいるが、中にはなかなか着替えられない子も居る、私はそんな子達の着替えをお手伝い。

「脱げるかな〜？」

なんて言いながら、慣れないなりに、明るく楽しく着替えをしてもらえる様心掛け。中にはそれに引っ張られ、手間取っていた着替えをあっという間に済ませ、プールへ行けた子も居た。

良くやった私！（笑）
良くやったその子！！

帰りの時間になると、お遊戯室から担当のクラスの教室に戻っていた私の元へ駆け足で迎えに来て抱きついて来てくれた男の子の事を、今でもフッと思い出す。

もしかしたら、幼稚園の先生達は、何か思う所があったかもしれないが、それでも「最初は不安だったんだけど、良い子達が来てくれて良かったわ」と言って貰え、嬉しかった事を覚えている。

こうして、私の職場体験は終わった。

あの頃小さかった園児の皆は、今はもう高校生くらいになっている。

私の事を覚えている当時の子達は居ないだろうが、私は覚えているし記憶に残っている。

そして、今でも時々思い出しては、元気で居るだろうか？どんな人に成長してだろうか…なんて考える。

たったの何日間かの職場体験。

けれど、私にとっては今でもフッと思い出して、寂しくなったり…可愛かったな〜なんて思ったり…。

そんな感情へと連れて行ってくれる、
大切な時になったようだ。