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お手本になる給食室で(エッセイ)

少し前に話題になっていた『給食人気メニュー』

世代ごとの人気メニューだった給食を、イメージで政府がSNSで紹介していたものだ。

私はニュースでその事を知ったのだが、世間の反応はあまり好ましいモノではなかった様に思うし、今の小学生が実際に提供されている給食の画像を見て、「えっ!?少ない!」と衝撃を受けたのも事実。

そして思った。

私が食べていた給食って、嫌いなメニューや苦手なメニューはあったけれど、とてもハイクオリティな給食だったのではないかと。

現に、私が通っていた市にある小中学校には、全部の学校に自校の給食室がある。給食センターはなく、イチから全て栄養士さん達が『給食室』で私達の給食を作ってくれていた。

お昼の時間が近付いてくると、給食の匂いが伝わってくる。美味しそうな匂い。

そして、出来立てホカホカの給食をすぐに食べられる幸せが、そこにはあった。

私は、これが当たり前だと思っていたが、他の地域ではそうでない。という事を知ったのは、恥ずかしながら大人になった時。

「そうだよ、だから良く他の県から視察に来たりしてたんだよ」と、後に母から言われた。

私が通っていた中学校の給食は、私が在学中に全国?だったか記憶が定かではないのだが…表彰された。

その当時の私にはイマイチピンッと来なかったが、年月を重ねてくれば、その凄さが良く理解出来るになった。

そして、時には給食の説明をしに、1つ1つの教室を訪ね、お話をしてくれた栄養士さんには頭が下がる。

こんな素敵な場所で、当たり前の様に給食を食べられていたし、食べさせて貰えていたんだと今になって私は思う。

大人になった今、給食を食べる事なんて全くなくなった。

美味しくて好きだった給食が、たまに頭の中に浮かんでは消え…もう食べられないんだよ、と私に言ってくる。

お手本になる給食室で毎日、毎日作られていた給食を食べられた私は、きっと幸せ者だったのだと、今なら思うのだ。

ああ、出来るなら、そっと後ろを振り返って……給食を食べられる年齢に帰りたい(笑)

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