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しなやかさと、趣(寝る前、エッセイ)

七夕の日に雨が降ったら『催涙雨(さいるいう)』というらしい。

なんて素敵で柔らかい日本語だろう。

……たった漢字にすると3文字。
平仮名にすると6文字の言葉なのに、言葉が纏っている悲しさが想像できる。

私の住んでいる所では天の川なんて見えないし、雨が降ろうが、降るまいが関係ないが、それでも七夕という特別な日はやっぱり晴れていて欲しいと思う。

梅雨の時期と重なっても、それを凌駕してほしいと思うし、織姫と彦星のお話も大人になった今では、周りの方が言うように、ただの悲しい物語にはもう感じなくなってしまったが、例え物語の中だけの事でも、実際には存在しなくても、1年に1度しか会えないのだから、七夕の日には晴れて、2人が再開できるのを望んでしまう。

催涙雨という言葉も、七夕の日が雨によって天の川が渡れず、悲しんでいる2人の事を表しているという解説もある。

それにしても、こういう柔らかくて素敵な言葉を生み出した日本人の感性を、私は尊敬しているし素晴らしい感覚だと思ってしまう。

今は何処か、というか…主に私が勝手に思っている事でもあるが、日本語としての美しさや慎ましさ、柔らかさが削れている様に思う。

私自身も便利で使ってしまう略語なんかもそうだな〜と思う。

今年の七夕も、どうやらお天気は良くない。このままだと催涙雨の日となるし、大都会では、新たな局面を迎えるかもしれない日でもある。

けれど、少し、ほんの少しでも良いから雲と雲の切れ間から晴れ間が覗けば良いのに…。笹の葉がたなびき、短冊に込めた願いが空へと羽ばたいていければ良いのに…。

そんな事を、私は勝手に思っている。

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