そのメール　送信不可！

【ピエロの手記７３　　断章６１】

クリスマスにかこつけて
そのメールを送信しようなんて
未練がましく
甘ったれていると　思わないのか

お元気かどうか
今年がどんな年だったか　ぜひ伺いたい
なんて
白々しく便りができると思うのか

もう
私のことを「エンジェルと呼ばないで」と
そういう凍るようなセリフを言われていたのを
忘れている訳ではあるまいね

彼女から
あの彼女から
ひと声でもいいから聞きたいという
さもしい
でも命がけの希みを
――捨てなさい

本当は　メールを送っても
返信のないことは分かっている
それでも
耐えきれずに送信してしまいそうだ

だから不可！
お前の運命の工程表に書かれているように
それは不可！　なのだ

　　‟悲しいピエロ”