見出し画像

『他人に迷惑をかけるな』の呪い

先日、従業員より『近々会社を辞めたい』と申し出があった。理由を聞いたところ、『親の介護が始まりそう』『会社(同じ部署の人)に迷惑が掛かる』との事。独身で兄弟無しなので、自分が面倒を見なければいけないと考えての事らしい。会社として先ず介護方針が決まるまでは有給消化や介護休業を勧めたが、気持ち的には退職方向で進めたいとの事。介護休業であれば給付金制度もあるからそれを利用したらどうかと思うのだが、【親の介護】より【会社や同僚への配慮】が先行しているように思う。

親の介護における最大の問題は【終わりがいつになるのかが不明】な所。育児に関しては基本的には各学校への進学や進級辺りが目途になるので、ある程度計画も立てやすいし、比較的会社としてのフォローもしやすい。介護(主に親)に関しては余程の事が無い限り、対象者が死ぬまで続くケースが殆ど。骨折等の怪我でのリハビリ程度であればある程度復帰の目途は立つが、痴呆や老化による介護の場合は終わりが見えない。
『一定の期間であれば復帰後に挽回しようがあるが、いつまで続くか分からない状態で迷惑だけを掛け続けられない』という意識が先行してしまうのだろう。

【他人に迷惑が掛かるのが嫌】という意識が強い人に対して、会社として、また経営者として『人は群れて生活する以上、他人に迷惑を掛けずに生きる事は出来ないのだからある程度はお互いに許容できるんじゃない?』といくら説いてもそのハードルが下げられなくなってしまっているんだろうなと感じる。

自分的には『来る者は拒まず、去る者は追わず』のスタンスなので、相談されれば解決に繋がりそうなヒントやアドバイスは出すが、最終結論は自身に判断させる。個人の幸せは各個人にしか分からないし、自分なりの答えを提示して信じて行動した結果、不幸になったとしても責任は取れないから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?