「スフィンクス」以前と、その以後。
「スフィンクス」という曲を作った頃のことはそこまで覚えていません。あの曲の製作期間は一週間くらいでした。直前に出した「ゴースト」という曲を作るのが結構大変だったので、次の曲はそこまで肩肘張らずに作ろう、くらいのスタンスで制作を開始しました。
テーマ
旅人に謎を出す神話上のスフィンクスが現代社会の憂鬱を提示するという世界観と、循環小数の無限性をテーマとすることは割とすぐに決まりました。循環している空気感を出すためにコード進行もビートも基本的にワンループで進んでいくこともすんなりできましたし、メロディもオリエンタルな音階をなぞることで苦労はしませんでした。
https://www.ufret.jp/song.php?data=142990
コードはだいたいこれで合ってます。
編曲
まず初めにビートができ、コンガやボンゴなどでパーカスを組み、それに合わせてエレクトロスウィング調のピアノを弾き、ダッキング処理をしたシンセベースを合わせ……たところまでは良かったのですが、イントロのメインメロディを何で弾こうかにかなり悩みました。
色々な楽器を試した末、シタールを模したシンセにダブラーとダッキング処理をかけてあの金属質な音像ができました。それだけでは寂しいのでブラスとシロフォンを左右に振ってイントロは終わりです。
あのイントロができたので「もうこのまま行けるな」と思い、そこからは一気に作れました。
1番が割と型に嵌った感じの展開だったので、2番ではもう少し遊んでもいいかと思い、まずは1番と2番の繋ぎを三拍子にしました。転調もしています。
2番は歌詞とメロディを不規則にし、サビの前にもう1つサビのようなパートを用意しました。このパートはサビの没案をそのまま使っています。
Cメロではコードを変化させてブラスソロにし、落ちサビからの転調で曲は終わります。あの印象的なイントロを1度しか使わないというのは最初から決めていました。
歌詞
歌詞についてですが、基本的に一貫しているのは現代人への問いかけであるという点です。ただ私としては問題提起のような意味合いはなく、思考することを放棄するべきではないという肯定的なメッセージのつもりです。現代がそこまで暗澹たる世界だとも思っていないので……。
歌詞の序盤に「砂牢」という言葉が登場しますが、これは人を飲み込む流砂と束縛された世界をイメージした造語です。結構気に入ってます。
「懈怠の盗賊」は何にもやる気のない人のことです。曲学阿世への侮蔑も込めてある、ような……?
「いつかその身を謎に捧ぐまで」と「棺の中 収められるまでが取り柄だ」はほとんど同義語です。死んだら終わりってことです。
サビ終わりに「誰彼も抜く守り人」というフレーズがあります。これには「一歩先で俯瞰している」という意味合いを持たせたかったのですが、「誰彼も〇〇守り人」の空白が中々埋まらず、楽曲が完成してから一番最後になんとか「抜く」(=追い抜く)という言葉を捻り出しました。
今後のこと
「スフィンクス」を投稿する前と後で、投稿後の反響は桁違いに変わりました。それくらいにこの曲は私にとって大きな存在となっています。
ただ、曲を作るスタンスが変わったかと言われるとそうではありません。今まで通り表現したいことを描いた楽曲を投稿していくだけですし、それはこの先もずっと変わらないと思います。1つの曲調に囚われず様々な種類の楽曲を投稿していく予定ですが、スタンスは変わらないのでよろしくお願いします。
余談ですが、スフィンクスっていう猫の種類があるらしいですね ただ私は猫アレルギーです
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