見出し画像

5.MILLER LITEと孤高の男

MOTELのTVから流れる
カントリーミュージックを聴いている
曲は
「GODS WILL」
MARTINA McBRIDE
女性シンガーのカントリーだ

いま俺は
やけにでかいベッドに横になって
音楽に耳を傾けている
いや、それにしても・・・
身体は小さくない方だと思うが
・・・
俺はデカいベッドを持て余している
何だか自分が小さくなったように感じる

他の州の人がよく言うのが
TEXAS人は
言うことも
クルマも
態度も
何もかもがデカい
・・・
う~ん
確かに当たっている
道中にあるガスステーションに
併設されているスナックバー
そこで売られているコカ・コーラ、
バケツみたいなサイズのカップを選べるんだよ
それでいて99セントだってよ・・・
太っ腹だよな(笑)
最初は俺も
「こんな量飲めねぇだろうよ!!」
と思っていたが
人間は慣れてしまうらしい
環境適応能力が発揮されるんだ
しまいにゃ簡単に飲み切っちゃうんだよ
しかも、だ・・・
それでいてリフィル、
おかわり自由だっていうんだから
みんな腹が突き出てるのもうなずける

あと街に目を向ければ
ばかでかいピックアップトラックが
沢山走っている
一般車なのに後輪が片方2つだぜ
つまり後ろタイヤが4つ・・・
それからフリーウェイには
巨大な壁みたいにデカいコンボイが
バンバン走ってたな
それに混じって日本車も走ってるが
風圧で簡単に吹き飛ばされそうだった
いま泊まっている部屋も
値段の割にやけに広いし
かなり豪華だ

お・・・
さてさて・・・
そろそろ頃合いだろ
う~ん・・・
ちょうどいいかもな
なかなか感が冴えていやがるぜ・・・
なんて思いながら
洗面台に敷き詰めてある氷の中から
キンキンに冷えたMILLER LITEを出す
最近こいつにハマってるんだ
軽くて口当たりがバツグンにいい
水みたいにグビグビ飲めるんだ

MILLERを飲みながら
広い部屋でゆっくりくつろいでいる
すると
色々な言葉が頭に浮かんでは消えていく

勢いに任せて日本を飛び出して来た俺
後先なんか考えていなかった
普通だったら理性が止めるだろう
「貯金しておけ」
「いま働いておかないと将来困るぞ」

とうぜん周りにも止められる
「定年したら行けばいい」ってな

それからさ
「もし彼女とやり直せたら・・・」
「どんな人生送っているだろう・・・」
「もしあの時に・・・」
そんな言葉がさっきから
ぐるぐる頭の中を駆け巡るんだよ
でも結局いつも戻ってくる所は

「もしあの時・・・」

うじうじと
情けねぇったらありゃしねぇ・・・
考えた所で
過去に戻れるのかよ ・・・

でもさ
すげ~よな
北米の大地をバイクで駆け巡ってんだぜ
映画みたいだ
今回の破局
失ったもんは大きい
かなりのダメージを負っちまった
かなりの重症だよ・・・
・・・
だが
もしかしたら
いま得ているもの
半端なくデカイかもしれねぇ・・・
まぁでも
こればっかりは何年も後にならないと
わからねぇことだけどさ・・・

まぁでもさ・・
俺が思うに人間死ぬ時は
結局プラスマイナスゼロなんだろうよ
いい事も嫌な事も悲しい事も嬉しい事も
死んだらそんなもん全て幻みたいなもんだ
そんなことも考えたりする

ま・・・
聖人君主じゃあるめぇし
俺にはわからんけどさ

なんだか少し酔っ払ったかもな
それにしても
このMILLER LITE
・・・
すげぇうめ~・・・

              続く・・・

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?