息子たちは私を名前で呼ぶ
幼い息子達が私を名前で呼ぶのを聞いて驚かれることがよくある。日本でも、海外でも。その度に説明する。
10代の頃、近所に住んでいた小さな子供達が親を名前で呼んでいた。アーティスト&建築家のお洒落で斬新な一家だった。幼児にも対等に接するのを見て、将来私にも子供ができたら、名前で呼ばせようと思った、と。
赤ちゃんは普通「ママ」と呼び始める。しかし、それは言語的に発達途中だからであり、最初は意味のない喃語のようだ。
周りの人達が名前で呼んでいれば真似し出すが、その時大抵の親は「お母さんって呼んで」などと言うのだろう。我が家はそれをしなかっただけ。名前を呼ばれたら喜んで応えていただけだ。時にはマミーとも言う。それもそれで良い。
因みに、自分は母をママと呼んでいる。ずっとそうしてきたから、それが自然なのだ。しかし、私のママは「おばあちゃん」にはなりたがらず、孫たちに名前で呼ばせる。
先日、夫に「ママ(My mum)が来てるかも」と言うと、長男が「どうして(祖母の名前)って言わないの?名前があるのに」と意外な質問。名前を大切にするのは、息子が大好きな「千と千尋の神隠し」の影響もあるかもしれない。大人が気づかないうちに、子供には彼なりの哲学が育っているのだろう。
子育ても、人生も、正解の無い選択肢に溢れる。過去の選択に満足できる時は嬉しい。