歩き出す。
6月。木曜日の午後。
だんだんと、梅雨の気配がそこまできている。
雨が降って、暗く濡れた日々が続くと、だんだんと憂鬱な気持ちになってくる。
だからその前に、自分の気持ちを決めておこう。
自分の軸で、生きていく。
もう、気持ちを振り回されるのに、揺さぶられるのに、ちょっと疲れてしまった。
好きだった。本当に大好きだった。
でも、言っていいことと、悪いことがある。
脳内を抉られて、傷ついた心は、そう簡単に元に戻るものではない。
傷を塞ごうとした。傷を癒せるよう、振る舞ってみた。
でも、突如として前触れもなく、あの日聞かされたことばを思い出す。
そんなに成し遂げたい願いがあるのならば、そこに全力を注いで、生きていけば良い。
女は、腹を括ったら強い。
守るべき存在もいる。
一時の気の迷いではない。
自分自身にも至らなかった点はあった。
それは、申し訳なかったと思う。
でも、
身体ではなく、心が裏切られた。
信じていたのに。
この経験は、確実に女性を変える。
妻を変える。
反省もするが、意地もある。
コトバは、想いを届けてくれるかもしれない。幸せにしてくれるかもしれない。
そんな力もあれば、逆もある。
今回放たれたコトバは、幸せになれるものとは、違っていた。
それを口にした時、目の前にある幸せには、ヒビ割れが生じる。それは、小さな衝撃で、一気に崩れてカタチをなくす。
信じたい想いは、崩れてしまった。
目の前にいる存在を、真っ正面から、よく見て。煩ったスピードと同じ速さで、心は離れていく。同じ駅に居合わせても、反対方向に走り始めた電車は、どんどん遠い存在になる。
ちょっと止まって、方向を切り替えたほうがよい?その想いが背中を向けたら、異なるほうへと進んで行く。
それに気づいた時、
どんな、顔をする?
それでも、歩いていかなければならない。
弱いけど、強く。歩いていける。
歩き出す。
行き先は、ゆっくり決める。
きっとどこかに、新しい何かに
辿り着くと信じて。
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