主任のつぶやき

夏空へ雲の落書き奔放に  (風生)

 高校生最後の夏休みがやってきました。自身を振り返ると、出来もしない計画をたて、挫折感を背負い込む。教科書を放り投げて背伸びしたい本を読みふけって、重圧から逃げている自分を甘やかしていたことを思い出します。(苦笑)しかしながら「何者でもない自分」を自覚して、他人から見て奇妙に見えても必死に何かになろうとする自分がいたのも確かです。それはともかく夏休みの成功の秘訣としてよく言われるのは最初の3日間の計画と実行であるといわれます。秋の収穫は夏の成長にかかっています。

 就職希望生徒は面接練習に励むことはもちろんのこと、今一度働くことの意味について納得できる解答を出しておいてください。高校生の離職率の高さは負の側面ばかりとはいえませんが、ここでの就職が人生のキャリアアップの第一歩としてどのように位置づけられるのか考えましょう。また決断するためには頭でっかちな理想をたくましい現実感で包み込む度量も必要です。迷いのある人はその思いを様々な人に聞いてもらいましょう。

 進学希望者は本当に大切な夏休みとなります。生活リズムを乱さないことが一番大切です。補習を取った生徒は後期までしっかりがんばりましょう。悲観も楽観もせず淡々と机に向かうことです。集中することはもちろん大切ですが、ぼーっとしたり、何をしていたのか分からない時間もまた「何かをなす」ためには意味のある時間です。無茶な成績アップを夢想するより着実な時間を積み重ねましょう。 

 さて課題研究に取り組む夏休みでもあります。以前ゴミ問題に取り組む生徒と瀬戸内海の豊島(香川県)に行ったことがあります。豊島は島影が変わるほど大量の産業廃棄物が持ち込まれたことで全国に知れ渡っていました。十数メートルも積み上げられたゴミの上を歩くフワフワ感や鼻を突く異臭、産廃からしみ出た緑色の液体が海に流れ出す異常な光景が事前に下調べをしていた知識をぐらぐらと揺らします。勝手に押しかけた感のある初対面の高校生に窮状を訥々と訴え、思いを語る地元青年の真剣な顔。取材を進める中で単純な善悪に分けられない事情や複雑な地元の思いを高校生は学びました。「当たり前だけどインターネットやテレビでは知り得ないことってあるんですね」と目を輝かせて語る高校生はすばらしい文章を残しました。22回生もフィールドに出て自らが設定した課題に対する「本当の学び」を是非体験してください。それがあなたの生きる力となります。

 最後に期間中、学校説明会やフィールドワークなど生徒の自主的な活動が展開されます。安全には十分注意して思い出深い有意義な夏休みにしてください。

    勉強の灯を見上げつつ庭涼み  (敬親)


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