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盲導犬と私

毎晩、大学からの帰り道に盲導犬がいる。

目の不自由な飼い主のためにコンビニに連れて行ってる姿が印象的だった。
こちらを見るわけでもなく、ただ淡々と。

私は彼or彼女のように人に必要とされてきただろうかと思いを巡らせる。

昔、こんな言葉を聞いたことがある。
「世界中の人を助けたいなら身近な人をまず助けなさい。」

この言葉は確かに筋が通っている。だが中二病を引きずっていた私は、「人一人助けたところで世の中に何か影響があるのだろうか。いい人に見られるだけじゃないか。」(良い人であるのは良いこと👍)

そう思って、何か特別な、人とは違う”凄い人物”(笑)になろうとしていた。
他者には出来ず、自分だけが特別な存在でありたい。そう考えていた。

盲導犬と飼い主は互いが必要不可欠な、いわば相互扶助の関係である。彼らはこの残酷で殺伐とした世の中を二人三脚で助け合いながら、懸命に生きている様を見せてくれた。つまり、万人に好かれることが立派だとは限らないし、それは私の使命ではないと思う。

身近な人のヘルプに気が付くのは実は難しいことだ。灯台下暗し。ネットニュースや新聞で知らない他人の不幸に同情する前に、自分の周りの人をよく見るようにしたい。周りの人を助けながら、いつかは儚く散ってしまうこの関係を大切にして生きていきたい。そう思える機会を作ってくれたあの犬氏に感謝したい一日だった。

私たちは偶然生まれた取るに足らない生命体かもしれない。だからこそ不思議な周期で巡り合ってこうして同じ時間を過ごしている特別な存在でもある。


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