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2022/10/14 18:00公演【エリザベート】

長期休暇中を取っているのに、エリザベートが公演してるのに家でじっとしていたくない!という気持ちが当日券ゲットに結びつきなんと観劇することができました。備忘録として、でもちょっとは共有したいそんな感じです。今回は登場人物ごとにズラズラ書いていきます。(ネタバレ含みます)

【ルキーニ】

物語の始まりルキーニが裁判官に質疑を受けそれに答えるところから物語が始まる。彼はオーストリア皇后エリザベートを刺殺したアナーキスト。自身は捕まってから11年後に独房内で自殺した。しかし、彼によるとなんと100年以上事件の経緯を裁判官に話し続けているそうです。その内容がこのミュージカルに繋がっていると思うとルキーニのお話しめっちゃ惹き付けられる魅力がありませんか??

楽曲

2幕始めの「キッチュ」がお気に入りです。あの特徴的なリズムも相まってルキーニが聴衆を惹き付ける。自分はその中のひとりのようです。タイトルの意味はいろいろあるそうですが一番あってると思うのは「お涙頂戴式の通俗的なもの」でしょうか?歌の中で彼が連呼する「偽物」がこれに当てはまるのかなと思いました。自分の理解では、大衆に知らされている事実は「偽物」でただ大衆に同情を煽ってるだけのものであるということでしょうか?

上山竜治さん

もう大好きです。のどの調子が優れないそうで上山さんの歌声はこんなもんじゃない!!って思いました。しかし、低音で響く歌声は格別です。いつか完全復活で狂気じみた上山ルキーニの高音が聴ければ嬉しいですね。
また、ルキーニのコロコロ変わる情緒は表情で表現されている気がします。それが間近で観れたのがとても良い経験でした。

【フランツ・ヨーゼフ】

ハプスブルク家最後の皇帝。中野京子さんの著書には「慎重に勤勉に帝国の運営を行い、在位六十八年という驚くべき長期政権を保持することになる。彼だからできたので、余人ではとうていこうはゆかなかったであろう。」とあり、舞台上では表現しきれないがものすごい優秀な方らしいです!

田代万里生さん

姿勢や所作まで全部皇帝です。もはや田代さん前世皇帝なんじゃないかと思ってしまいました。皇帝の義務にがんじからめにされながらも愛するシシィに自由を与えたいと苦悩します。フィナーレでトートが演奏する「悪夢」でのフランツを演じる田代さんが印象的でした。逃れられない悪夢にいつもきっちり整えられた頭髪、表情が一瞬で崩れる様子は帝国の終焉を感じさせます。

【トート】

死の象徴であり、黄泉の帝王。
ある日、幼いシシィが木から落ちたときに魂に触れたトートは彼女を愛してしまう。「死」という絶対的な存在が生きている女性を愛し、彼女を自分の物にするため躍起になる姿が印象的。
古川さん自身2019年時点で「トートの思っている感情を残らず伝えること」を思いに持っていたそうですが、今回の公演では「"全てを超越する死"としての圧倒的な存在感、怖さ、迫力などをプラスできたら」とパンフレットで語っています。

楽曲

トートの楽曲は選びきれないです。
「闇が広がる」では、トートはエリザベートに対して「フランツとの結婚は帝国を破滅に導くだろう自分と踊ろう(黄泉の国へ行こう)」と。耳元で囁くように歌ったり、「最後のダンス」では劇中で最も大きな声量で狂ったように一緒に踊れと訴えたり。「死」の恐怖というよりかは、ねっとりした執着心のある恐怖を感じました。
前段での古川さんのパンフレットの"すべてを超越する死"がここに表れていると確信できます!

古川雄大さん

・圧倒的な歌唱力のなかに、もはや人ではない「死」を演じていました。動きの一つ一つが「丁寧でゆったりと冷静」であるが、エリザベートと踊るとなると「激しく熱烈」になる感じがあります。強弱でもなく、ON/OFFでもない何かこれが古川さんが表現する「死」なのかもしれません。
・ルドルフを黄泉の国に向かえるときトートから口づけしにいき命奪いに来るのですが、その部分が「黄泉の帝王」感があって個人的に好きです!2016の円盤だとルドルフからトートに対して口づけしにいくのですぐに気づきました。

【エリザベート】

「死」に愛されたオーストリア皇后。天真爛漫な性格で物語の終始「自由でありたい」と願い続ける。

楽曲

やはり「私だけに」は格別でした。
なかでも一幕ソロでの「私だけに」が個人的に好きです!皇族としての生活が始まり姑ゾフィになじられる生活を経験して「私のために」、「自由でありたい」という意志を確固たるものにします。この歌以降エリザベートは少女から女性に変化するように思えるところからも転換の歌にも感じました。

「たとえ王家に嫁いだ身でも
 命だけは預けはしない
 私が命委ねるそれは私だけに」

ここの歌詞に強い意志を感じます。

愛希れいかさん

・ずっと生で観に行きたいと思っていてやっと実現できました!自分は木下晴香さんのファンで2019年の「ファントム」でクリスティーヌ役で愛希さんもダブルキャストで演じていらっしゃっていて初めて認知しました。その時期に関連動画を漁って出てくる愛希さんの歌唱動画を観ていて木下さんと愛希さんどちらも観ればよかった。。。と後悔して、ずっとそれを引きずっていました。
声量で会場が振動する感覚を久しぶりに味わいました。この感覚はそれこそ「ファントム」の木下さんが歌う「Home」で感じた感覚で、そこそこ観劇は続けてきましたがそれ以降、経験できる機会はありませんでした。声量を出すことだけが正解ではないので技量はあっても演出で取り入れて
もらえるとは限らないのがその要因だと思うのですが、今回久しぶりに経験できて、しかもそれが愛希さんで最高です。

・この作品ではエリザベートの少女時代から亡くなるまでの長い期間を演じているのでその時代ごとの表現が必要になってくる難しさがあると愛希さん自身もパンフレットで語っています。特に経験したことのない老年期は特に難しいらしく想像力を使って望みたいとも語られていました。
実際に観劇していて場面と場面を境に表情、声の高低、動きなんかが分かれているのがよくわかるのです。
老年期のエリザベートにはやんちゃな少女のエリザベートはいないんです。でも、唯一「自由でありたい」この考え方は劇中で常に一貫しているのがよくわかると思います。

【最後に】

エリザベートという歴史ある作品を観ることができてとても良い経験ができました。何せ取り扱っている時代や人物が他の芸術作品の題材なんかにもなるので今後それらを記憶のなかで関連付けることができるのがとても楽しみです。少なくとも自分は2019年の国立西洋美術館の企画展で展示されていた「ハプスブルク展」に行って見聞きしたことが深く関連しているのに観劇前に気づき、そのときの特集本などで予習することができました。そうやって臨む観劇は見えるものも残る記憶もかなりくっきりしたものになる気がします。
ちなみにいまNetflixでエリザベートの生涯にフォーカスしたオリジナルドラマが配信されているそうです。観なきゃ!


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