見出し画像

80歳のジジ放談、日本をまだ経済大国だと思っていますか

「80の壁をどう乗り越えるか」のシリーズを約3ヶ月連載し、年金制度改革案を提示して終了いたしました。第2弾で「ジジ放談」を連載したいと思います。年寄りにしか見えない「日本の現実」に目を向け、悩み、喜び、失望し、感動したいと思います。

 まず、初めは新聞記事からスタートいたします。ネタは2023年3月8日の日経新聞・朝刊の「大機 小機」(コラム記事)です。この記事は唯識さんという記者の書いた署名記事で、書き出しはこうです。
「日本の1人あたり国民所得が経済協力開発機構(OECD)諸国のなかで平均以下になってしまった。かつては2位だったのがだ。平均以上を先進国とするならば日本はもはや先進国ではない、中進国だ」と。

『そうだなあ』『その通り』と思うか、『そんなわけはない』『日本はすごい国だよ』と思うか・・・さて、どちらのグループに入っているか事故点検してみましょう。
 その前に、記事はこう繋がっていきます。
「かつては東京を世界の金融センターにするとして、高度人材導入の議論が行われていた。それが、今や企業の部課長レベルの給与は韓国や台湾のほうがよほど高いとなり、高度人材として流入してくる過半は中国人やインド人だ」と。
 韓国、台湾より中国やインドが一見レベルが下に見える様な記述ですが、待ってくださいよ、中国は今や世界第二位の大国だし、インドも人口は中国を抜いて世界一、一両年内にはGDPも日本を抜き去ると言われているんだから、この表現は必ずしも正確ではないんじゃないか・・・?

 そしてこう続きます。
「製造業は強いので「モノづくり大国」だと言っていたのが、今や大企業は国内と海外での投資を比較し、収益性が高ければ海外での投資を増やしている」と。
 海外に投資してリターンを求めるだけでなく、この30年、大企業は海外に進出して工場を建て、製品マーケットを世界に開拓してきました。つまり、投資に見合うだけの優れた人材が、海外に豊富にあり投資効率が高いとみなられているのです。単に労働コストが安いからというだけではなかったのです。

 さらにお金についてはこう書いています。
「国内での低調な融資を尻目に、日本の金融機関の世界市場における融資シェアは世界一。カネも逃げ出している」と。
 私が仕事をしていたタイの例をとってみると、三菱UFJ銀行はタイの大手銀行(アユタヤ銀行・クルンシ・バンク)を傘下に収め、好調な業績を残しています。クルンシ・バンクは個人顧客も多く、リテイルビジネスは絶好調と言われています。

 最後に解決策として記事は「少子化対策」を論じています。
「よくいわれる人口を増やすというのでは間に合わない。今生まれた赤ん坊が生産活動に参加するのは早くても20年後だ」と。
 いかがでしょうか?記事は問題点の核心をついていますし、日本が今や「中進国」になっていることを分かりやすく説明しています。
 この記事を読んだ後でも『日本はすごいよ。日本は経済大国だよ。モノづくりは世界一だ。先進国だ』と思うなら、『そうであって欲しい』という願望にすがりついていることにならないだろうか、と思います。
 記事はさらに進んで日本が中進国になってしまった原因を保護策に支えられた中小企業の低い生産性に求める方向へと核心部分から逃避をしてしまいます。

「そんな国では、いくら異次元の少子化対策と言って議論しても少子化が止まるはずがない」という論調になっていきます。ちょっと、ちょっと!てか、かなりの尻つぼみですね。
 そんなことを考えている矢先、新型ロケットH3の打ち上げ失敗のニュースが飛び込んできました。ああ、あっ!
「技術大国」でもなくなったんだ。
なぜだろう?機会を見てジジ放談で取り上げたいと思います。

〈表紙の写真はバンコク・ナラティワット通りの中華屋〉

にんじんがゴロリと入った中華そば
手漉きの中華うどん、店はBTSチョンノンシー駅から歩いて3分


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?