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Acupuncturist・Lady(鍼灸師・娘)

「今日も我が家は」

「南六号三丁目」

次の日、9月27日は主人も恒例の月末がお休みであのハガキの場所へ行ってみようという事になったのでした。

娘も学校を休んで参戦してくれると言った。

息子は先日、仕事を無理矢理休んだので今回はやめておくと言った。

「ママは今回は家で休んでな!」と言われたが居ても落ち着いていられないと思い、足手まといにならないようにするからと行く事に決めているのでした。

義妹からは、あの高額な探偵を雇ったと連絡があった一日5万とか6万と言っていたように思ったのです。

27日の段取りを娘と話し合い、もちろんPちゃんの協力も遠隔で得られていたのでした。

Pちゃんは「南六号に着いた時点で主人に連絡を入れるように」と言っていたのでした。

今回は皆さんまだ疲れが残っている状態だったので電車での移動にしたのでした。

大宮で待ち合わせをしていた娘と合流すると彼女の案内で大宮駅から京浜急行に乗り、雑色という駅に降りたのです。

お昼にはまだ早かったがマクドナルドで食事をして地図を広げて南六号三丁目を探すと多摩川の河川敷と雑色駅辺りがそうじゃないか?と思われて土地感のない我が家のみなさん。見ても想像が出来ないのでした。

とりあえず多摩川に向かうことにして歩き出すのでした。


すると、「多摩川土手」と小さな木の看板があったのです。

その側にあった階段を登りきると目の前が開けて広大な多摩川の河川敷が広がっているのでした。

正直、何処から探せば良いのか分からない気持ちになるのでした。多分、休日だったのか,多くの家族連れが思い思いに過ごしているのが見えたのでした。

それでも「私、あっちに行ってみるから!」と娘は右の方へ・・・主人は左の方へ駆け下りて行くのでした。

私は土手も降りられずに「此処ら辺にいるから」と二人を見送り土手の上を歩き出すのでした。

足が引き攣り痛いので階段がキツイのです。

此処を探すには余りにも広すぎるでは無いかと思うのでした。

すると人が集まっている中に電話をしている主人を見つけると、程なく私の携帯がなっているので出ると主人なのでした。

「参ったよPちゃんがさぁ、大きな森の公園のベンチに座って居るからって、多分、上野の公園じゃないか?って言うんだよ。こっから上野じゃ遠くて此処にしてくれないかなぁ、もう皆んな協力して探してくれるって言ってるんだけど・・・」

どうやって声を掛けたのか?地域の人らしい人が声をかけ合っている姿が見えたのです。

なんかすごいな、と思うのでした。

「あのさ、今来たばかりなんだから少し見てから考えようよ、私の前に公園みたいのがあるみたいだから私はここら辺を見てみるから」と携帯を切ったのです。

トボトボと歩いて行くと遠く土手の左側に海を模した様な砂の公園があるのでした。

昼間の公園は日差しが強くて誰もいないのでした。

その奥には船の様なオブジェがあり、船の公園と書いてあるように思ったのでした。

私はPちゃんが言っていた私がよく行く大洗の海の公園を思い出していた。

見方によればそう見えなくは無いなと・・・でも東屋は?奥の方に公衆トイレが見えるのでした。

その左となりには大きめのマンションが、その一階部分は飲食店だろうか?
何人かの従業員の方がベンチを出して休憩しているのでした。

そのマンションの向こう側は先程いた雑色駅前の商店街になっている様だった。


ボーッと考えながら歩いていると思わず「H君、一体何処探せばいいのかな?」
と呟くのでした。

すると、気が付かなかったのだが、いつの間にか至近距離にオバァさんが着いて来ているのだ。

「アレッ?」と思って私が歩くと歩き,止まると止まるを繰り返している。

「やだ!着いて来てる?」何処から付いて来てるんだろう?

「これはマズイだろう」と思い意を決して「オバァちゃん、どうしたのかな?」と聞いてみたのです。

するとクルリと向きを変えて私の事を無視する様にマンションの方へ歩いて行くのでした。

「良かった、迷子にさせてしまう。」と少し彼女を見送り・・・大丈夫だな。と

また、Pちゃんが言っていた事を追って海のような公園、駅、東屋、大きな木とベンチ・・・

古い東屋のようなトイレを確認すると、そのまた奥に真新しく作られたトイレ?があるのでした。

その前方には大きな木が何本かあるのが見えたのです。
駅の側であろう繁華街に大きな太い木は不思議な異空間を作っているのでした。

ところが、その奥にはもっと深そうな森の公園が広がっているのではないですか、不思議な感じで新しいトイレの側まで行くと何かの植物の生垣のその奥に傘が見え、違和感満載なのでした。

おそらくあの生垣の向こう側にはベンチがあり、あの傘の持ち主は座っているのだろうと思われた。

先程の主人のPちゃんが言っていたと大きな木、そしてベンチ?

「大きな木の下のベンチに座っているから!」を思い出してドキドキしながら覗きこむと、カッパのような頭があった。

それでも確信はもてなかった。

その主は本でも読んでいるのか?縮こまるように傘の中にいるのだった。

雰囲気は義弟に似てるが・・・

私はもう待てないと「エーィままよ!」

主の前に出て「○○ちゃん❗️」と言った。

主がビックリした顔で私を見た・・・

私は「違ったか?」と思ったが、

主が私の名前を呼んだのです。

「○○ちゃん、○○ちゃんが何で居るの?」と

「義弟だった。」義弟だと確認できるまで数秒かかったのでした。

何故なら彼は痩せ細り茶褐色した皮膚がシワシワでお爺さんに見えるのでした。しばらく外での生活をして来たのであろう日焼けした餓鬼のような容貌なのでした。

目は白く濁り青い縁取りの黒眼は異様に窪んで見えるのでした。

彼が目を伏せて「○○ちゃん、○○ちやん、どうして?何でいるの?」と言うのでした。

「何でいるの?って、探したんでしょうが!」と怒るように言ってしまった。

私は隣りに座り逃げられないように腕を組んだ。

「私、見つけた!私、見つけた!」

「皆んなで探したんだよ!今日もパパも来てるよ!○○○(娘)も来てる!」

と私は彼にぶら下がるようにして泣いている様でした。

傘が開いたまま落ちてカラカラと回った。

読んでいただろう文庫本も開いたままになっている。

「何で?何で知ったの?」

ちょっと冷静になって聞いてきた。

「義妹から連絡あったんだよ。」

と言うとびくんと緊張が走ったのでした。

「彼女の所へ帰る?」と聞いてみた。

首を横に振り苦しそうに「帰りたくない!」と絞り出すように言ったので私は「家来る?宇都宮に来る?」と聞いてみた。

すると溜め息をつくように「ダメだよ,迷惑かけてしまう。」と言うので「何言ってるの!実家でしょう!大丈夫だよ!」と私。

その間も主人に連絡を入れたくて携帯を操作するも震える手が上手く押せなくて空回りしているのです。

「○○ちゃん、大丈夫だよ俺逃げないから、そんな体力ないから。」言った。

そこで我に帰り、しっかり鷲掴みしていた手を離したのです。

やっと主人と繋がり、義弟が居たところを説明すると周りに「いたって!」と大きな声で言うのでした。

すると電話の奥から「おーい!いたってよー!」と声が連呼して行くのでした。

そして大きな声で「ありがとうございました。」と周りに言っているのでした。

しばらくして,何とか説明した場所を探って私達の目の前にすっとんきょうな顔の主人が現れた。

「○○か?」

「兄貴❗️」

色々な思いが溢れていたからと言うのは分かる、でも何処かで見た事のある「こんな時はこういう感じ」みたいなシーンを見せられているみたいだった。

それは、大念のプロレスのドリーファンク、テリーファンクJrがタッグマッチで優勝した時のようでした。(わかっるかなぁ?)

その主人の後ろにポカリスウェットを持つ娘が歩いて来るのでした。

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