剥き出しの魂、銀杏BOYZ
どうしようもなく心がボロボロになっているときに、心のモヤモヤを叫び狂いながらぶっ壊してくれるのが銀杏BOYZというバンドである。ちょっと女の子にはオススメできないくらいには下品で最低なことを歌っている曲も多いが、その分だけ(?)このバンドがさらけ出している剝き出しの衝動が、僕の心の一番深いところをこれでもかというくらい揺さぶってくれる。
まず聴いて驚くのはその音量だ。耳が壊れる。ハイが、ミドルが、ベースが、うるさすぎる。ここまで真っ直ぐに「おい、俺の音楽を、聴け!!!」と絶叫してくれるバンドは他にいない。自暴自棄になっているときにはこれくらいの正直さと愚直さが僕の心を救ってくれる。彼らにとってはミックスもへったくれもないのだ。ボーカル峯田のテクニックのかけらもない、魂をそのまんま喉から吐き出しているかのような歌声は、どんな耳障りの良い音よりも最短距離で僕の耳から魂へと突き進む。銀杏BOYZというバンドは、良くも悪くも飾り気一切ナシ、正真正銘裸の心で聴く者と対話してくれるのだ。
このバンドが他の何よりも一途に追求しているのは、心の初期衝動だと僕は思う。彼らにとってその表現方法がたまたま『あの娘に1ミリでもちょっかいかけたら殺す』『童貞フォーク少年、高円寺にて爆死寸前』『日本発狂』であった訳で、別に過激なことや卑猥なことを恐れずに言う俺たち尖っててカッケェだろ、というバンドではない。むしろその逆で、思春期特有のあのなんとも形容しがたい『なんとなく僕たちは大人になるんだ』という気持ちをそのままに、世界一純粋で美しい、泣きたくなるような、抱きしめたくなるような歌詞を、世界が滅びてすべての音が消え去っても聞こえるように大きな声で歌ってくれる。
もう引用しているだけで泣きそうだった。なんでこんなにまっすぐな少年の歌詞を書けるのだろう。今はもう大人になってしまった僕たちがかつて経験したあの頃の気持ちを、彼らは呼び覚ましてくれる。
ボーカル峯田はその魂剥き出しの生き方ゆえに、ライブで暴れすぎて骨折しながら歌ったり、大物ミュージシャンが多数出演するフェスでちんこを出して補導されたりとそれはもうめちゃくちゃな奴であるが、そのぐらい誰にも何にも嘘をつかないからこそあんな歌い方になるのだろうし、ズドーンと一直線で僕たちの心に声が届くのだろう。
最初は音量や音質、過激さに抵抗があるかもしれないが(むしろ最初からすんなり聴けるほうがおかしい)、ハマってしまえばもう生きていくには絶対に欠かせない、骨髄まで音が染み入るバンドになること間違いなしです。日々を順調にこなしているつもりでも、ふと心の隙に漬け込んでくる、大人になってしまったことへの小さいけれど確かに存在する寂しさや虚しさ。そんな気持ちにまっすぐな目をして向き合ってくれるのが銀杏BOYZです。
必聴ソング
・援助交際
・NO FUTURE NO CRY
・なんとなく僕たちは大人になるんだ
・BABY BABY
・恋は永遠 feat.YUKI
・少年少女
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