5/20 『孤狼の血』を観た

面白かった。もうなんか、面白いのはそりゃもう面白いよな、と思って観ていた。この手の作品はもう、強烈なパンチで脳の一部をマヒさせて楽しいところだけを楽しむよう、そういうふうに服用するもんだからそりゃ面白くて当然、っていうある種の納得というか、これもうクスリみたいなもんだな、とさえ思ってしまった。どんなフィクションも多かれ少なかれそうではあるが。
今作でいうならその出だし強パンチというのは当然ながら冒頭の拷問シーンで、こんな強パンチ出されてマヒせずばおけまいよ、って感じ。観る前に『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』で「最初に豚のクソ食わせるシーンがある」って聞かされてなけりゃマヒどころじゃなくて気絶しちゃってたかもってくらい。あれで心の準備ができたので、珍しくネタバレがいい方に奏功した。
最近映画を観るようになって俳優の顔と名前とかもだんだん覚えられてきて、だからそういった役者の演技っぷりにもようやく目を向けられるようになってきた。役所広司ってすごいんだなーとか、松坂桃李がチンピラをボコボコにするシーンでは最初「いけ! やったれ!」と思ってたのに徐々に「ちょ……あの……」って感じに見事に誘導されたのとか、『64』以来の「部下をアゴで使うクソ上司役」をやる滝藤賢一がやっぱ一番好きだなとか、そういったことをいろいろ。
『64』といえばこの作品も舞台は昭和63年と近しく、どちらも楽しめた。あのへんの時代ってほどよく古く、ほどよく今となってはファンタジー、ほどよくそれでも今とそれほど変わらない、僕にとっていい距離感にあるのかもしれない。

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