1/15 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た

評判になっていたのと、あと直近で京極夏彦『狂骨の夢』を読んでいたこと、映画にも狂骨が出てくるらしいことなどを聞いて、これも縁だと思って観に行った。テレビシリーズは全然観ていなかったが、面白かった。
『狂骨の夢』がきっかけだったから、ストーリー序盤の流れなどから事件の謎やトリックを推理したりすべきかなと思っていたけど、まさにその狂骨が作中で現れたあたりを皮切りにそういう話じゃなさそうだとなっていく。実に妖怪とはいろんな側面を持つものだ。同じ題材でも全然別の作品が作られる。
事前情報はほとんど入れず、評判だけが勝手に入ってきたような状態で観たけど、それでも鬼太郎というものは昔ながらにそれなりに見知った存在だったので、そのエピソード0ものとしてもよく楽しめた。ちゃんちゃんこは、ご先祖様の死の怨念と未来への希望で編み上げたからあのように黄と黒の市松模様なのだなとか、なんとなくわかるし。
鬼太郎の親世代は時代の流れと人間達の醜い欲望の前に敢え無く散ってしまうけれど、それでも守られた希望が後の鬼太郎へと継承されていく……なんて話のようではあるが、ただ鬼太郎の父は目玉のおやじとしてこれからも鬼太郎とともによろしくやっていくし、水木も記憶を失っちゃうけどどうやらその後もじいさんになるまでどっこい生きていくようで、あとついでに言うとそうして訪れた未来は昔とそうそう変わらず、醜い人もいればそうでない人もいるといった様相で……そういやゲゲゲの鬼太郎ってばそういう感じの作品だったなと、あらためて感じ入らせてくれる。結果、見事にエピソード0の役割を果たされてしまった。こうなるとテレビシリーズもまた観てみたいな。これまでのやつでもいいが、できれば新シリーズを観てみたい。『ゲゲゲの鬼太郎』とは、常に最新の〝いま〟を描く妖怪ものなんじゃないかと思うからだ。

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