7/13 『家康、江戸を建てる』を読んだ

面白かった。
最初の1シーンこそ秀吉と家康の緊張走る一幕から始まるが、その後すぐに秀吉が死に、家康が関ヶ原の戦いに勝利することがたった2行で書かれてたりして、この作品の視点はそこではない、ということが早くも示される。江戸という土地をいかに江戸という街に仕立て上げるか、そこに挑む役人、職人たちの小説なのだった。江戸を街にするための様々な要素を、現代の物事だったり価値観もところどころ持って来て説明してくれて、分かりやすい。小説でありつつプロジェクトX的な、ヒストリア的な……「NHKの番組感」が要所要所にすごいある。実際、後にNHKでドラマ化されてるし。
”○○は、
「~~である」
とは言えない。”
みたいな、改行で直前の言をすぐ否定したり逆のことを言ったりする文体も慣れてくると面白い。基本的に天下普請で困難な壁はあっても敵対するものとか反対するものがないぶん、こういう描写の翻しがアクセントになって読みやすさを助長してくれていたりするのかな。

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