6/17 津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』を読んだ

面白かった。
津原泰水は短編ならいくつか読んだことあったものの、冲方丁が逮捕されたときに、便乗的に何か悪口言ってたので以来嫌いになっていたけれど、此度の騒動をきっかけに、どれちょっと仲直りしてみようかと手に取った次第だった。結果、仲直りした。悪口についてはとりあえず忘れておくことにしよう。
4人の引きこもりとJJの5人を中心に、他の人物も時折挟みつつ、視点を細かく切り替えながらぴょんぴょんと話が進んでいくのにさして混乱せず、すいすい読み進めていけるのが凄い。終盤にゆくにつれてそれは加速していくけど、追いつけないということもなくむしろ勢いに乗せられていく。また描かれるシーンはキャラクターの来歴が語られる重要なところもあれば、どういうとこなんだと思うところもあり、ここは大事ないいシーンではというところがあえて語られなかったりと、単なるハイライトではなく、これまた味わい。さすがのワザマエというやつなのだろう。いい音楽はとびとびに聴いてもいい音楽だということでもあるかもしれない。

(追記)読み終えてしばらく経ってから気づいたけど、最後に示されたプロジェクトはあれ要するに、外に出られないヒキコモリ(厳密には違うとしても)が、中に入れないレッドフォレストをどうにかしようとするっていう皮肉なアレになっているのか。すぐ気づけなかったのはちょっと恥ずかしいが、ふふ、それってなんだか素敵じゃない。

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