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2019年7月の記事一覧

7/29 川上稔『境界線上のホライゾン ガールズトーク 緑と花』を読んだ

面白かった。 ガールズトークシリーズは毎回次巻を読むときには前巻の内容を忘れちゃうんだけど、毎回推理小説っぽいな、と感じている気がする。今巻においては以心・崇伝は何者か、何しに参ったのか、というフーダニット&ワイダニットか。 正純との論戦はとても白熱したが、しかし今まであんな叫び合っていたっけ。今回終始そんな感じだったが、そんな感じだったっけ。崇伝のノリにあてられたのだろうか。 崇伝様ちゃんは、14章の扉絵がとってもカワイかった。今巻限りの登場なのが惜しまれる。

7/22 やついいちろう『それこそ青春というやつなのだろうな』を読んだ

面白かった。 登場人物は一部をのぞいてほとんどが大学時代の無名アマチュアお笑いコンビで全員誰だよって感じなのに、承知の上でさも大人物のように紹介されたり活躍が描かれたりして、しかしそれがするする読めて面白い。本文からとられる各章の章題なんかもキャッチーなものが多くて、素敵な文才だなあと感じ入る。「僕は自分が創り出したものに感動したい」という言葉はステキだなと思った。僕もそういうことしたい。 ずっと続けてきたことが力になっているのも羨ましく、つい自分でも何かずっと続けてきた

7/15 冲方丁『剣樹抄』を読んだ

面白かった。 誰が呼んだか大江戸シュピーゲル。たぶん冲方読者はみんな言った。 まあ冲方読者からしたらそのようにしか見れないが、そうでなくとも、泰平の世たる江戸と対テロ組織超人集団を組み合わせるという発想にはたまげた。これによって、時代劇でありながら現代的な物語にできるというのだから。なんて思ったけど時代劇には全然詳しくないので、鬼平犯科帳とか銭形平次とかが全然元々やってたりしたら恥ずかしい。 ただ、そうしたぶっ飛び集団である拾人衆が、読み通してみるとそれほど多くは活躍し

7/9 奈須きのこ『空の境界 未来福音 終末録音』を読んだ

面白かった。 『空の境界』を最後に読んだのももう随分前だったので、これの前に何か月かかけて読み返したんだけど、読み終えた今、正直「忘却録音」だけでよかったのではないかという気がした。いやそんなことないけどね。FGOと通ずるところが見出せないかなど考えながら読めてよかったし。 なんとなくあらためて思ったのは、つくづく、モノを捨てない作風だなあということだった。ひとつの食材について調理方法を2つ以上思いついたら、ちゃんと全部作ってみるというような。それをいちどに全部出すかどう

7/4 新八角『ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか? 2』を読んだ

面白かった。 前巻からお話が続きつつ、お出しされる料理をきっかけに過去への回想を随時挟んでいく構成がお上手。さらには幻覚作用のある食べ物を利用して、マジックリアリズムめいて過去と現在を行ったり来たりさせまでする。テクニックだ。 料理と共に描かれるのはそれを作る人と食べる人の想いの応酬。百合というのは俺にはよくわからないが、それはひょっとして料理に似ているのではないか。攻め×受けの源流は作る×食べるなのかもしれない。とにかくとても良いものを読んだ、という読後感にしばらく浸っ