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『ビビッドナイト』レビュー

 久しぶりの投稿です。GWと珍しく休みがしっかりとれたのもあり、少し前話題になっていた『ビビッドナイト』をやっていました。元々ローグライクは好きな方なのですが、どうしてもサクサクという感じではないので、まとまった時間が取れたらやろうという感じでしたが、日本産のゲームにしては珍しくゲーム性から面白いと言えるゲームだったのでピックアップしています。


 『ビビットナイト』はローグライクゲームとして、新しい面白さを提供している。ローグライクというジャンルは、「リズム」と掛け合わせた『Crypt of NecroDancer』、「カードデッキ構築」と融合した『Slay the Spire』に代表されるように他ジャンルと組み合わせることによって進化してきた分野だ。本作は『オートチェス』と組み合わせたゲームで、「リスクとリターン」という面白さをローグライクに組み込んだゲームであると言え、ローグライクの面白さの核であるランダム性を更に引き出している。

 ビビッドナイトの舞台となるダンジョンは、非常にオーソドックスなローグライクRPGだ。部屋と通路で構成されたフロアが用意されているが、マス目は設定されておらず、進行方向を選べばその方向にある部屋まで自動的に移動する。移動の度にマナという満腹度的なゲージを消費し、それが無くなると移動の度にダメージを受けるので、残りマナと相談しながら各フロアを探索し、キーン(お金)や宝石に変えられた仲間を集めていく。

マークからどこに何があるかは大体わかる

移動先にモンスターが居る場合は戦闘になる。戦闘が始まると、仲間は自動で戦闘を行い、通常攻撃か確率でスキルを発動する。主人公は、画面下段に表示されたジェムを使用して、攻撃/防御、回復、バフ/デバフなどを行うことが出来る。仲間のHPが全員0になると戦闘に敗北する。

味方・敵ともに2頭身のキャラクタたちが戦闘を行う

 基本的なシステム自体は非常に簡単で、プレイヤーが各場面で選択すべきことは絞られており、あまり悩まずにサクサクとゲームを進めることができる。行動の選択肢が多すぎてとかえって遊びづらいという、ローグライクを遊びにくくさせる要素があるのだが、本ゲームは、バトルが半自動化されたことにより爽快感があり、ローグライク初心者でも遊びやすいゲームになっている。

 それでは、ゲームの楽しさの中心となっている要素は何だろうか。それはパーティ編成にある。パーティの強さは、各キャラクターが持っているスキルとシンボル(パッシブスキルの属性のようなもの)、各キャラのアップグレード度合い(凸要素)の2つの要素で決定される。

各キャラクターが持っているシンボルは、戦闘に参加した場合に効果が表れる。例えば、レッドのシンボルなら、6人中3人が持っていると、毎ターンダメージを与える炎上デバフを戦闘の開始時に付与する。一方、各キャラクター自体も同じキャラクターを3体集めてアップグレードすることで左上に銀色の☆が付いてステータスがアップする。更に銀色の☆付きが3体揃うと金色の☆になり更に大幅にステータスがアップする。

【左側】今回は8つのシナジーを発揮している
【右側】☆3になったことでステータスが大幅にアップした

 各キャラクターを集める主な方法は、宝石屋とよばれるショップである。ダンジョンを探索中に獲得したキーンを消費して、キャラクターを購入するのだが、完凸するには“ショップ品揃えガチャ”の更新ボタンを押して、望みのキャラが画面に表示されるまで、延々と繰り返さなければならない。ジワジワと削られていくキーンを見つめながら、次こそあのキャラクターが来てくれ!と願いながら沼にハマっていくのはとても楽しい。

お金が続く限りガチャを回すことが出来る

 そうなると、結局はガチャ次第で運任せと思うかもしれないが、実際はかなり戦略的である。実はゲーム開始時に表示されるダンジョン構成が表示され、どのタイミングでお金を使うかをゲームの最初の時点で大まかな戦略を立てられる。

各階層で起きることが予告されている

  例えば、上の例だと地下5階にBOSS、流浪の宝石屋と呼ばれる宝石屋の亜種が登場することが予告されている。この宝石屋の亜種がゲーム攻略の肝で、流浪の宝石屋は固定したシンボルのキャラクターのみが登場するショップなのだ。シンボルが固定されているということは、通常の宝石屋よりも意図したキャラクターを集めやすいということであり、パーティ構成のベースはこのシンボルで考えた方がいいということでもある。

 つまり、この場合、大きな戦略としては1~4階で可能な限りキーン(お金)をためつつ、地下5階で一気に強化をおこなってBOSSを倒す。というのが基本戦略となる。ただ、地下7階にもすぐに次の流浪の宝石屋が控えており、地下5階でどの程度までパーティを強化するのかというのが悩ましいし、そもそも1~4階までで戦闘に負けてしまっては元も子もない。また、一度アップグレードしたキャラクターのシンボルは戦闘パーティから外しても保持されるので、道中で欲しいシンボルのキャラクターが出てしまった場合、無駄な出費をしてしまったりもしてしまう。
状況に応じて、行動を取捨選択していく悩ましさは、ローグライクRPGそのもので、非常に上手くローグライクゲームとオートチェスの凸システムを融合させていると言える。

総評

 ビビッドナイトは、2頭身のキャラクターが光る可愛いらしい見た目とは裏腹に、ローグライク要素がしっかりと抑えられた正統派なローグライクだ。解放要素がやや物足りなく、ストーリーが人によっては物足りなく感じるかもしれない。また、特定のシンボル・特定のキャラクターが強く、やりこんでいくとワンパターンになりがちということもある。ただ、それらを踏まえても、余分なストレス要素を限りなく排除し、シナジーを考える楽しさに集中できるようにしたゲームバランスはぜひ遊んで欲しいものがある。個人的には追加DLCなどを期待したい。

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