見出し画像

2021年、出会えてよかった本。

この記事は、メディアパルさんの
#アドベントカレンダー2021 「あなたの好きなことのイチ押し本」に参加しています。
noteでおすすめとして、アドベントカレンダーの記事が出てきて、楽しそう!と思い…
飛び入り参加もOKという事で、通りすがりですが参加させていただきます。

今の時期、街中とかが段々クリスマスに近づいてくる感じ、ワクワクしますよね🎄🌟


***

今年も様々な本を読んだけど、
私が紹介したいのは「2021年、出会えてよかった本」

『そんなふう』川内倫子 著

 写真家・川内倫子、出産と育児の記録。 
 生活の中に、身の回りの草木に、そこに差し込む光をとらえた作風で国内外から多くの支持を得ている写真家・川内倫子。
 2016年に妊娠・出産を経験し、約3年半に渡り綴られた自身の世界の変化と子や家族へのまなざしをおよそ80点に及ぶ写真と日記体のエッセイでつづります。

ナナロク社 公式ホームページより


今年読んだ中で、印象深かった一冊。
刊行されたのは2020年10月。読んでいたのは、今年の2月頃です。
エッセイ(日記のように日にちが綴られている)と、写真で成り立っている本。

本屋さんの写真集コーナーでたまたま見つけて、ピンク×グレーの色合いが可愛い!と装丁の素敵さにやられ、
その時はパラパラと見ただけで買わなかったけど、少し時間が経ってからどうしても欲しくなり、色々な書店を回って、結局見つけたところで買った。

川内さんは写真をやられている方というのは知っていたけど、作品は見たことがなく、これが初の書籍&写真だったけど、スーッと入ってきた。

一気に読むというより、寝る前とかに布団の中で数ページずつゆっくり読んでいった。

子どもが生まれ、育っていく様子はほんとにキラキラしていて、生命力に満ち溢れている。

 2019.04.24
…ランチセットをひとつと娘用に納豆巻きを注文したあと、誕生日だしやっぱりビール飲もう、と思い、店員さんを呼び直し、グラスビールひとつ、と追加注文して娘と乾杯した。
ビールを一口飲みながら、娘と誕生日をこんなふうに過ごせるのか、と思うと40年経ってあの日の誕生日会のことがなんだか帳消しになったような気がしたが、思えばこれだけじゃなく、娘が生まれた時点で過去のさまざまな辛い思い出は全て帳消しどころかプラスになっているのではないか。
晩婚で子どもを授かる可能性は随分低かったけれど、無事に子どもが生まれたあと、久しぶりに会った友人に、いやあ、よかったなあ、満塁サヨナラ逆転ホームランやなあ、と彼独自の言い回しでお祝いされた事がある。
そのときは苦笑したが、実際自分の年齢を考えると、まさに最終回裏に奇跡が起こって全部ひっくり返ったかのようだ。
それは勝ち負けという意味ではなく、娘が光を連れてきて、それまで固まっていたものが水になり、強い光に照らされて蒸気になって空に還ったかのような、そんな感じなのだった。

『そんなふう』川内倫子 p.149〜151

個人的な話になってしまうけど、この本を読んでいる時期、何故か育児エッセイや妊娠エッセイみたいなものをとにかく欲していて、女性として本能的に何か感じていたのかな、と。

女性が生きていく形って、ほんとに様々なものがあるんだろうけど、子どもを授かって、こんな風に思えたら素敵だなぁ…。

そして、子どもが成長し、ぐんぐん生きる力を発散していくのと同時に、飼い猫の死、祖父や義父の死、小鳥の死も出てきて、「生」と同じ温度で「死」も描かれていて…(写真も)
生きることって、こうなんだよな、と。。

飼い猫の死が描かれている「サイのこと」はグッとくるものがあり、そこから「2018.07.03」に繋がっている話もとても良かった。
ぜひ読んでいただきたいです。

一定のリズムで綴られる正直な文章と、それと同じような写真たち。
大切な一冊になりました。

この本を読んでいた頃、撮った写真


12月。師走。忙しい毎日だと思いますが、慌ただしい日々から少し逃避して、深い呼吸の仕方を思い出させてくれるような一冊です。

気になった方はぜひ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?