【長編小説】二人、江戸を翔ける! 1話目:始まり③
ライトな時代小説という感じで書きました。週一ペースで投稿予定です。
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江戸郊外の向島に立派な屋敷があった。のどかな風景の中に目立つように建っているその大きな建物には荷車や人の出入りが頻繁にあり、入口の門の上には『越後屋』と看板が掲げられている。
この建物は江戸を拠点としている『薬種店・越後屋』の倉庫として使われていた。
薬種店とは今で言うところの薬局のようなものである。その建物の奥で、一人の男がイラついた声を上げていた。